それではここで、世界が注目している株価の最近の動きについて考察してみよう。
株式というものは、経済の先行きを判断し、また企業の将来像を予測して売買するものであり、その結果が株価として上がり下がりするのが本来の姿である。そういった考えからすると、
主要先進国の国家的な財政破綻というビッグバンが目前に迫っている今、株価の下落はもっと深刻な状況になっていて当然である。
ところが、米国の財務状況の実体が表に出た8月初旬、
さらには、ギリシャ危機が一段と近づいた9月初旬に発生した世界的な株価の下落の様子を見てみると、なぜかその動きが中途半端な状態のままで、本格的な下落には至らずにいる。ダウ平均でいうなら、1万1000ドルを割りさらに1万ドル割れに近づこうとすると必ず買いが入り、すぐに
元に戻してしまう。ここ数日の動きを見てみればそれがよく分かる。
時には、午前中に250ドル、300ドルと急落していながら、午後になると訳の分からない理由を見つけて下値を切り上げ、時にはプラスに転じることさえ
何度も起きている。私のように、
数兆円の資産を持つ金融機関の運用部門のトップにいたことのある人間の目から見ても、
こうした動きは理解に苦しむ現象である。
これは明らかに株価の暴落を防ぐために意図的介入を行っている者が存在していることを示している。前回お伝えした「紙」を「神」へと変えた貨幣制度を作り出し
、それによって
富を一極化して世界を我が物にしようとしている「闇の勢力」とその一派たちである。
彼らにとってマスコミや情報源をあやつって株価の流れを操作することは、難しいことではないのである。
彼らはこれから先も富の集中化を図り、蓄えてきた富を増殖しようとするために、なんとしても貨幣制度の瓦解につながる株価と主軸通貨ドルの暴落は阻止し
なければならないのだ。 ウオール街はまさにそのための亡者たちの修羅場と化してしまっているのである。
先の欧州財務相会議へのガイトナー財務長官の参加も、
またG20首脳会議の開催もみなそのために行われているようなものである。一時、株価を急落させマスコミを使って危機感をあおり、EU(欧州連合)諸国にギリシャやスペインを救う欧州基金(EFSP)の承認を迫る。さらには基金の規模を拡大させる。
最近のEUやIMF(国際通貨基金)の幹部の言動を見ていると、彼らの意図が手に取るように分かってくる。先に行われた欧州中央銀行やFRB、日銀などの主要銀行による金融市場へのドル資金の供給もその一つである。
ここ数日の世界の株価の急落、急騰の動きを見てみれば、読者にも彼らの意図に沿った効果が現れていることが分かるはずだ。彼らはこうして市場を操作していくのである。
それでは天は、なにゆえそうした彼らの延命操作を許しているのか? さらにこれから先、世界経済はどのような動きを見せることになるのか? 次回はその点について触れることにしよう。