ブータン国王ご夫妻の来日

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GDP161番目の国が教えるもの

 

 
 


インドと中国に挟まれたブータン王国、
それは、我が国と強い縁(えにし)の糸で結ばれた国であった。

 


ブータンのワンチュク国王とジェツン・ペマご王妃が国賓として来日されたことはご承知の通りである。新婚後初めての外国訪問でご夫妻の顔には幸せが満ち溢れておられたが、それは新婚ゆえだけではなく、幸福度世界一の国 を統治するお二人であるからでもあるようだ。

GNP (国民総生産)やGDP(国内総生産)という言葉は、私のブログにもたびたび登場するなじみの言葉である。これらは国民一人一人がどれだけの生産性を上げているか を表す指数であるが、近年、この数値をもって国民の幸せの尺度とするという考え 広がり、多くの国が指数向上に努めてきた。(GNPとGDPとの違いは外国に住む国民の生産量が入っているかどうかの違いで、日本の場合は両者ほとんど同額である)

70年代と言えば、まさにこの「GNP=幸福」的な考えに則ってその指数の向上に世界中 の国々が取り組み始めた時代であった。そんな時、インドと中国に挟まれた王国ブータンの前国王は、GNP(国民総生産)ならぬ、GNH(国民総幸福)を国是とした国政に取り組み始めた。

因みにGNHとは、「ross ational appiness」の頭文字 で、GNPをもじった標語である。このGNH(国民総幸福) は次の4つの柱からなっており、これは憲法にも明記されて国の基本方針ともなっている。

@環境保護  A文化の推進 B良き統治 C公正な経済発展

どうやら前国王は、70年代初めに既に「GNP=幸福」指数論的な発想の裏には大きな弊害が隠されていることを見抜いておられたようである。つまり、経済の発展こそが国民一人一人の幸せにつながるものだという考え方は 、あまりに物質至上主義的な考え方で、それは国民の間に「格差」や自然界に「環境破壊」を及ぼすものであることに、気づいておられたというわけである。

ニューヨークのウオール街で始まった「格差反対デモ」や、ここ数年中国における自然破壊による大規模な洪水、干ばつの自然災害などを見ていると、まさに国王の先見の明に感服せざるを得ないところである。上記の4つの基本方針の中には経済発展も含まれているが、そこには「公正な」という言葉が前書きされている。格差社会のまっただ中にいる米国と中国の国民には是非とも知って おいて頂きたいものである。

GNP、GDP共に世界一の米国は1960年代初期に「幸福度」のピークを過ぎ、その後は年々下げ続けてきている。 GNPで日本を追い抜いた中国では、一部の人間が裕福になる一方で、ひき逃げされた子供を見て見ぬふりをするという人間とは思えぬ国民が出現している。

経済の発展が決して幸福度と結びつくものでなかったことを示す国の代表が、まさに米国であり、また昨今の中国ではないだろうか。
 

 

 
 


美智子皇后陛下に謁見されるワンチュク・ブータン国王ご夫妻

 


ブータン王国との縁(えにし)

ブータンを訪れた人は、底抜けに明るく、暢気(のんき)な国民性に驚かされる一方、以前からの親しい友人であったという不思議な親近感を感じられるようである。私の知人も先頃ブータンを訪れ、まるで同じ国民であるような感じを強く持ったと語っていた。

どうやら、親近感は容姿が日本人に似ているということだけではなく、心持ちや価値感に共通性がありそうである。彼らの心の秘められた「足るを知る」 の心は、日本人の持つ「もったいない」の気持ちと相通じるものがありそうだ。

おそらく、ブータン国民は1万数千年前、太平洋に沈んだレムリア文明に縁のある人々で、魂の故郷が我々日本人と共通しているのではないだろうか。拙著『龍蛇族直系の日本人よ !』、『世界に散った龍蛇族よ 」の読者なら、皇室と共にある日本民族が龍蛇族直系の民族であることは既にご承知の通りである。

来日されたブータン国王夫妻と美智子皇后陛下との対談の様子をニュースで拝見すると、両者が強い縁(えにし)の糸で結ばれた民族であることがよく分かる。私にはまるで、旅に出ていた息子夫妻が帰郷して母親と 語り合っているような雰囲気が感じられてならなかったが、それはそうした遠い過去世からの歴史を考えれば頷けることである。

国王は東日本大震災の被災地福島県の小学校を訪れた際、子供たちに向かって「みなさんの中には人格という龍がいます。年を取って経験を積むほど龍は大きく強くなります」と語りかけられたことや、ブータンの国旗がうろこや角が細かく描かれた龍そのものであること(下図参照)は、ブータン民族もまた、レムリア文明滅亡の後、世界に散った龍蛇族直系の民族である 何よりの証ではないだろうか。

それにしても驚いたのは、「国王が生徒たちに龍はいると思いますか」と質問したのに対し、半分以上の子供が手を上げたことであった。龍の存在を質問した国王と答えた子供たち、何か別世界 での対話の一場面を眺めているようであった。

また、国王が衆議院本会議場で行った演説の中で「不幸からより強く大きく立ち上がることが出来る国があるとすれば、それは日本と日本国民です」と強調された点は、他国の首長が語った社交辞令的な挨拶とは違って、本心からそう思い、またそう願っている心が感じられ 心が温まる思いであった。

震災に際し、その国力からすると信じられないほどの多額のご寄付を頂き、震災後半年後の今もなお、国王自らが祭壇に額(ぬか)ずいて被災地の復興を願って頂いていることが 、それを如実に示しているではないか。わずかな救援隊しか送ってこなかった大国中国とは大きな違いである。

ブータン国王ご夫妻の来日は、ニュージーランドのワイタハ族と同様、龍蛇族直系の皇室と日本国民を兄と慕う民族が世界にいることを知らされる ところと相成った。なんとも嬉しい限りである。

 

 

 
 


ブータン王国の国旗
ウロコや角が細かく描かれた龍の姿は少年和宏君の切り取った
「龍蛇族直系の日本人よ!」の表紙の切り絵そのものである。