ギリシャに次いでイタリアやスペインの債務不履行(デフォルト)の懸念が取りざたされ、世界の株式市場を揺るがしていることについては、先の「ユーロ圏の経済危機」でお伝えした通りであるが、両国
に対し国債の購入面で支援をしようとしているのが、ブリックス(BRICs)と呼ばれている中国、インド、ブラジル、ロシアである。
中でも、積極的なのが中国。先日、イタリアが中国にイタリア国債の大規模な購入を要請したとの報道が流れたが、14日から中国の大連で開催され
ている世界経済フォーラムで
、温家宝首相はイタリアやスペインの国債を購入して両国の財政危機を支援すると大見得を切っている。
また、中国の国有投資会社「中国投資」の楼継偉会長が先週、代表団を率いてローマを訪れ、イタリアのトレモンティ経済・財務相と会談を行い、イタリアの国債購入やイタリアの民間企業への投資について討論したというニュースも流れている。
まさに債務危機に直面しているスペインやイタリアにとっては救いの神であるが、なにしろ相手は中国であるだけに、単純に喜んでいるわけにはいかない面があ
りそうだ。あのしたたかな共産主義国家の中国政府が
他国のために我が身を捨てることなどあり得ない。先の東日本大震災に派遣されたわずかな救援隊の人数や首を傾げたくなるような義援金の額を見ればすぐに分かることである。
案の定、ドイツ国際放送局ドイチェ・ヴェレは、中国政府の欧州における戦略的投資に警鐘を鳴らし始めた。9月12日の同報道は、欧州における中国政府の投資の運営方式と規模は非常に不透明であると指摘し、その目的の裏には、軍事戦略が隠されているのではないかと疑問を呈している。また、欧州諸国の中国政府との接し方について、完全に経済利益を最重要視していると非難、中国投資の浸透に警戒するよう呼びかけている。
中国の大金持ちは以前から日本の国土、中でも北海道や離島に興味を示しており、既にかなりの土地が彼らの手に渡っている。「金に
さえなれば」の「3さえ主義」で売ってしまっては取り返しがつかないことになると
、これまでにHPで何度か警告してきたことはご承知の通りである。
最近、同様な土地に対する投資が欧州でも大々的に行われ始めており、中国のビジネスマン・黄怒波氏が約1億ドル(80億円)を投じてアイスランドの300平方キロメートルの土地購入契約を交わしたことがドイチェ・ヴェレ社のニュースで報道され、話題となっている。
債務危機回避やビジネス重視のため中国政府や中国人の口車に乗っていると、気がついたときにはとんでもない国家的危機に直面している可能性があるだけに、我が国はもとより、
財政危機に直面している欧州各国も十分に注意を払う必要がある。
こうした情報を大紀元日本が伝えているので、その一部を転載させて頂いた
。興味がある方は9月15日付けの記事を読まれることをお勧めする。
中国から不透明な投資 独メディア「目的に警戒せよ」
軍事戦略が目的か
【大紀元日本9月15日】アナリストは、一部の中国の投資プロジェクトは、長い目でみるとビジネスの域を超えているとの見解を示した。今年年初、中国の実業家が英国の現役引退した空母を購入しようとしたが、英国側に断られた。ウクライナの空母が中国人に買い取られたとき、賭博場などの娯楽施設に改造すると約束されたが、結局中国海軍の手に入った。一部には、中国側が軍事設備を購入した後、分解して研究するのではないかと疑う声も浮上している。
また、中国がギリシャのピレエフスとイタリアのナポリで大型港を建設しているのも、欧州の不安を誘っている。特にナポリには、NATOも海軍基地を持っている。
最新の報道によれば、英国情報局の元局長で、現在はロンドン国際戦略研究所に所属するナイジェル・インクスター氏は、「多くのケースを疑うのには根拠がある。一見普通のビジネス取引に見えるが、実際にはまったく違う可能性が高い」などと述べた。
ロンドンのシンクタンク、ヘンリー・ジャクソン協会のアラン・メンドサ会長は、欧米諸国は中国政府からの投資を歓迎するあまり、長期的な影響を考えていないと述べ、「現在すでにこの問題を制御することができなくなっている。非常に憂慮すべきで、今後、その結果について集中的に検討すべきだ」と話した。(翻訳編集・叶子)