台風12号は、昨日5日の午後3時には温帯低気圧に変わったものの、昨日から今日にかけ今度は北海道が豪雨に見舞われることになった。これまでのところ、全国での死者と行方不明者の数は90人を超してきており、被災地の捜索が進むにつれ、100人は超しそうである。
とはいうものの、昭和の三大台風と呼ばれる室戸台風(1934年9月21日に高知県室戸岬付近に上陸、死者行方不明者3036人)、枕崎台風(1945年9月17日に鹿児島県枕崎付近に上陸。死者行方不明者3756人)、伊勢湾台風(1959年9月26日に和歌山県潮岬付近に上陸ご伊勢湾に向かう。死者行方不明者5098人)に比べると、被害は遙かに小さい。
しかし、今回の台風12号は台風の上陸点や通過点から数百キロ以上離れたエリアでの被害が大きいという点では異常であった。四国に上陸しないうちから関東の栃木県や山梨県などで豪雨による被害が発生。遠くは北海道でも、強風と雨の被害が出ていた。まるで半径が1000キロを超す超巨大台風が近づこうとしているようであった。最大の被災地となった南紀も進路からは200キロ近く離れている。
被害の状況をテレビで見ていると、とにかく水の被害が凄まじい。何しろ、和歌山県や三重県、奈良県などでは降り始めてからの積算雨量が1000ミリを超える地区が何ヶ所にも及び、奈良県の上北山村では、なんと1900ミリ近くに達している。これはこの村の年間降雨量2700ミリの70%に達する量であるというから、信じ難い数字である。
同様な状況は三重県の大台町(積算雨量・1700ミリ、年間降雨量3100ミリの55%)や奈良県十津川村(積算雨量・1400ミリ、年間降雨量2314ミリの60%)でも発生している。わずか3〜4日間で7ヶ月、8ヶ月分の雨が降ってはたまったものではない。まさに観測史上かってない記録的な雨量である。
熊野川にかかる巨大な橋の上にまで濁流が達している姿や、最近完成したばかりの9メートルの防波堤に囲まれた町が2階まで冠水している姿を見ると、自然の脅威の凄さを感ぜずにはおられない。
8ヶ月前の1月11日、ニュージーランドのオークランド空港でワイタハ族のポロハウ長老から、到着3日前の8日から9日にかけて、地球は長い間続いた「ストーン・クロック」の時代から「ウォーター・クロック」の時代に入ったことを伝えられた。時あたかも、オーストラリア北東部が豪雨による大洪水に見舞われた直後のことであった。
あれからおよそ8ヶ月、地球は水による記録的な災害が相次いでいる。中国、米国の被害は今回の日本の比ではない。ウォータークロックの時代といえども、自然災害は何も水害に限られているわけではない。これから先、干ばつも熱波も寒波、地震、噴火もその種類を選ぶことなく、次々とやってくることになると思うが、やはりその中心となるのは洪水、津波、豪雨といった水による災害ではなかろうか。
海岸や川岸、崖縁や山裾の近くに住んでおられる皆さんは、くれぐれもご注意頂きたい。大切なものはリュックやトランクに詰め、いつでも避難できるように準備を怠らないことである。