米国の株式市場はギリシャ問題への懸念から一時12,000ドルを割ったものの、1週間ほどの間にあっと言う間に1000ドル上昇し、7日のダウ工業株平均は12,719ドル。さらに13,000ドル台を回復し、史上最高値に向かおうというほどの勢いである。
しかし、ギリシャ問題は解決したわけでなく、これから歳出削減策が実行できるかどうか未知数のままである。ストライキや暴動が発生するようなら、削減策が実現不可能になる可能性は大きいのだ。さらに、ポルトガル政府の国債の信用度が一気に3段階下落し「BBB」級になった。その結果、昨年まで4%台で安定していた国債の金利はついに8%を突破。ギリシャの破綻前夜(4月)の状況に酷似して来ている。
アメリカ自体の実体経済も市場の人間が言っているように決して回復基調にあるわけではなく、また、財政問題も大きな危機を迎えており、連邦政府の借り入れの上限引き上げが、8月2日までに議会で承認されなければ、ギリシャやポルトガルより一足先に米国債のデフォルト(債務不履行)が発生する状況にあるのだ。
こうした国内、国外の危機的状況をまったく無視しての上げ相場である。これまでにも何度か述べてきたように、まさに、きちがい相場としかいいようのない状況である。
そんな中、7月8日、6月の雇用統計が発表された。非農業部門の雇用者数が前月比で1万8000人贈にとどまり、10万人前後の増加を見込んでいた市場予想を大幅に下回った。雇用統計では5月分の雇用者数の増加幅が下方修正されたうえ、失業率は9.2%と前月から0.1ポイントに上昇。3ヶ月連続しての悪化で、雇用情勢の厳しさが改めて意識されるところとなった。
今夜のニューヨーク市場がどれだけ下げるか分からないが、きちがい相場が続いているだけに、せいぜい100ドル前後の下げ程度で終わるのではなかろうか。しかし、現在のアメリカの株価が異常なものであることは、6月の雇用統計で明らかとなった。
失業率が9%を超して上がり続けているのに、景気がよいはずがないからである。
とは言っても、今の株式市場は「金の亡者」たちの博打場であるから、株高状態をまだ半年や1年は延ばそうと思えば延ばせるだろうが、何事にも限度というものがあるので、私はそう遠くないうちに、
株価は一転して大暴落がやってくるのではないかと考えている。
近づいている連邦政府の債務問題の期限、超大型の自然災害の発生の可能性、ドル・株価の暴落 ・・・・・
これから秋口にかけて、アメリカのニュースからは目が離せない日が続きそうだ。