ガザ地区の傷痕


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復興には20年

 
 

 
 


これだけ破壊され尽くした街を、元通りに復興することは容易ではない。
停戦合意で検問所は開いたが、イスラエル側から建築資材は一切運び込まれて
いないようだ。地元の人々は完全復興には20年はかかるだろうといっている。

 
 

8月26日にイスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦が合意されてから、2週間が過ぎた。しかし、ガザ地区の再建の見通しは立たず、現地の様子を映像で見ていると、まるで時の流れが止まった かのようである。

停戦合意に至らず両者が自己主張を続けていた状況が一変し、急遽合意に至ったのは、イスラエルとハマスを牛耳っている政権幹部 の自己保全のためであったことが明らかとなった。ハマスはそれまで、空港・港の再開を強く主張し、境界封鎖の解除なしに、停戦には応じないと宣言していた。

だがイスラエル軍が8月19日以降、ハマスの軍事部門幹部の暗殺作戦を相次いで実行し、幹部の死者が出てから、突如風向きが変わり、 自身の身を案じたハマス幹部は、急遽、幹部の暗殺の停止を条件に同意するところとなったのだから、あきれる。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相が合意 したのも、これ以上戦闘を続けることによって、世界からの非難の声が我が身と政権を揺るがしかねないと、判断したからに他ならない。

そんな政府や軍の幹部のご都合主義によって行われた戦争で、悲惨な目に遭うのはいつものことながら一般市民、中でも女性や子供たちであった。50日間にわたる戦闘で、イスラエル側では兵士を中心に70人、ガザ地区では市民を中心に2100人以上が死亡し、負傷者は数万人に達している。 なんといっても悲惨だったのは、ガザ地区の犠牲者の内500人弱、4分の1が幼 い子供たちであったことである。

     

戦闘による傷痕

 
 

 
 


今回の戦闘で、11才のアーヤ・アサムさんが受けた心の衝撃は
あまりに大きく、精神的トラウマを解消するのは容易ではなさそうだ。

 
 

数日前に放映されたNHK・BSの「キャッチ! 世界の視点」で、自宅で睡眠中にイスラエル軍戦車の攻撃で家を破壊され、家族と共々近くの学校に避難した子供、アーヤ・アサムさん一家の悲惨な様子が放映されていた。読者の中にもご覧になられた方がおられることだろう。

彼女は避難先の学校でも、更なる悲劇を味わうこととなる。学校という場所が決して安全な場所ではなかったからだ。 7月24日、イスラエル軍 が避難先の学校を攻撃、彼女はそこで18人の友達を失うことになったのだ。その中には命に別状のない子供もいたようだ。しかし 、今度は治療のため担ぎ込まれた病院が砲撃され、命を失うことになったのだ。

砲撃の対象となったのは学校や病院だけではなかった。信じられないことだが患者を運ぶ救急車さえもが攻撃されていたのだ!   学校も病院もそして救急車もみな、ハマスの戦闘員が隠れたり移動するのに利用している、というのがイスラエル側の言い分であった。 だが、数人のハマス幹部を狙うために数百人、数千人の一般市民、女性や子供たちを死傷させて良いはずがない。

これは、戦争の終結を急ぐという大義名分で、広島や長崎に原爆を投下し、罪なき一般市民30万人を亡き者にした米国の言い分とまったく同じ理屈である。

 

 
 

 
 


こうした負傷者がかつぎ込まれる病院が砲撃の対象となっては、たまったものではない。
どうやら、イスラエル軍は「人の道」という言葉を持ち合わせていないようだ。
(「キャッチ! 世界の視点」より)

 
 

心に大きな傷を負った少女アーヤ・アサムさんも、昼間友達と遊んでいる時は明るく笑顔でいるが、夜避難所となっている学校の教室の 一室で家族だけで過ごす時には、大きな声で泣き始めたり、おびえ出したり、急に攻撃的になったりするようである。やはり彼女が戦火の中で負ったトラウマは 、耐え難いほどに大きかったのである。

都市の復興には20年の歳月を要するのではないか、という見方も出ているようだが、心の傷、トラウマはそれより遙かに長 い歳月を要することになりそうである。徳乃蔵を訪ねて来られた女性とお話ししていると、何代か前のトラウマに今生でも悩まされて続けてい る話をお聞きすることがある。

肉体の傷は治癒しても心の傷、トラウマはそう簡単には癒されるものではないのだ。そう考えると、こうした深いトラウマを持った子供たちは、アセンションに向かう際に、高次元の世界へ進むことが出来るのだろうかと不安になってくる。

国境なき医師団の先生方がガザ地区でも、そうした子供たちのトラウマの解消に尽力されているようであるが、アサムさんのような子供たちが一日も早く元気を取り戻し て、来世にトラウマを持ち越すことなく、戦争のない高次元世界に転生できることを、ただただ願うばかりである。

それにしても、今回の戦闘で産まれたイスラエルとハマスの幹部たちのカルマは巨大で、その解消には長い世代を要することになりそうだ。ネタヤニフ首相 の行く先が「地獄界」より更に厳しい「魔界」であることだけは間違いない。 そこで、アサムさんたち子供が味わった苦しみと悲しみを、永久とも思える歳月にわたって繰り返し体験することになるのだ。お気の毒だが身から出たさびであるから、諦めてもらうしかない。

 
 

 
 


スラエル軍の戦車からの砲撃で破壊され尽くした住居ビル
赤丸部分をアップしたのが下の写真だ。

 
 

 
 


住宅ローンを抱えたまま全てを失った住民は悲惨だ! 
恐らくこの親子は破壊された後ろの建物に住んでいた
のだろうが、どうやら家屋だけでなく多くの家族も失ったようだ。

 

 

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