「月食と中東情勢」に記したように、ブラッドムーン(血の月)と呼ばれる赤みがかった満月が見られる皆既月食が、今年の4月15日から来年の9月28日までの間に4回連続して発生する。
4月は我が国では見ることが出来なかったが、今回は天候さえ良ければ日本全国で観測することが出来ることになっていた。
19:00前からかけ始めた月は19:25分から皆既月食状態に入り、およそ1時間続く。月食は太陽、地球、月が一直線に並ぶ満月のときに起きる現象であるが、皆既月食といっても月が完全に見えなくなるわけではなく、地球の大気で屈折した光が月面を照らすため、赤銅色に輝く月を見ることが出来る。
我が家周辺は18:00過ぎから満月が浮かぶ東の空が雲に覆われ始め、それまで赤く輝いていた月の姿が完全に姿を消してしまった。せっかくのチャンスなのでなんとか観察してみたいと思い、龍神様に雲が切れて欲しいと念じてみた。ありがたいことに、さっそく願いが聞き入れられたようで、19:00前あたりから月の浮かぶ一角の雲が切れ始め、70%ほど欠けた月食中の月が姿を見せてくれ始めた。
この段階では、月は白く輝き、通常の三日月と変わらない姿となっていた。しかし、17:25分頃に皆既月食状態に入った後から、黒く赤みがかった状態に変化。その後、時間の経過と共に、上部の左側あたりから明かりが増して来て、
18:00頃から、まさに皆既月食中のブラッドムーンを見ることが出来た。
月食前の状態と似ているが、赤みがさらに増して文字通り「血の月」という感じが強く感じられた。
今年から来年にかけ、皆既月食が連続して4回起きる「テトラッド」と呼ばれる現象は、過去500年間に3回しか起こっていない極めて希な天体現象である。問題は、その4回の皆既月食にユダヤ教の重要祭事・「過越の祭り」(すぎごしのまつり)と「仮庵の祭り」(かりいおのまつり)の日とが
すべて合致する
ことである。
そのうち、1948年〜1949年と1967年〜1968年に発生したテトラッドの際には 、第1次中東戦争と第3次中東戦争が勃発していることは、前回記した通りである。残された皆既月食はこの後、2015年4月4日と9月28日に発生しることになるが、中東情勢は今年4月の皆既月食以来、ますます厳しさを増してきている。
先のイスラエルによるガザ地区への攻撃や、「イスラム国」の登場で、激化する一方のシリアやイラクの状況を見れば、中東情勢がいかに悪化して来ているかが分かるはずだ。これから先2015年にかけて、中東情勢からはますます目を離せない状況になってきそうである。