ウクライナ、パレスティナ、イラク、シリア ・・・・・・ 各地の情勢は一向に好転する気配がないまま、戦闘はますます激しさを増すばかりで、女性や子供など弱者の悲鳴が鳴り響いている。そんな情勢の中、ウクライナを巡るロシアと欧米諸国との対立は、経済的な報復合戦となって次第にエスカレートしてきており、弾丸の飛ばない経済合戦の様相を呈し始めてきている。
日本のマスコミはあまり大きく取り上げていないが、今回のロシア政府がとった欧米諸国に対する制裁処置は、主要な制裁対象国であるEU諸国だけでなく、世界経済全体にじわりと影響を与えることとなりそうである。そればかりか、パレスティナ、イラク、シリアなど中東諸国の戦闘状況次第では、ハルマゲドン(世界最終戦争)へと導くきっかけとなる可能性すらある。
ロシアが行った今回の制裁措置は食料品の輸入を今後1年間禁止するもので、禁輸の対象は米国、欧州連合(EU)、カナダ、オーストラリア、ノールウエーなどであるが、特に影響を受けることになるのはEU諸国。
EUを襲った経済的危機は、欧州中央銀行のマイナス金利政策や大量の資金のばらまきによって、一見、沈静化しているかのように見られているが、それはうわべだけのこと。それだけに、こうした経済制裁合戦はEU危機の再発の可能性を秘めている。
今回のロシアの制裁は食料品の輸入禁止だけでなく、欧米の民間機に対してロシア空域の飛行を制限する措置も含まれている。この措置はまだ検討段階にあるようだが、欧米側の制裁が具体的に始まれば実施される可能性は高く、そうなると、ヨーロッパの航空会社にとって大きな打撃となることは必至である。
ロシア空域を通過するルートはアジアへの最短ルートで、欧米の航空会社にとって利益率の高いルートとなっている。それだけに、欧米各社の欧州〜東アジア便の迂回による経費拡大は、日本や中国などアジアの航空会社に対して経費面で太刀打ちできなくなり、大打撃となることは間違いない。こうして報復措置はまた新たな報復を産み、事態は悪化の一途をたどることとなる。
元凶となっているウクライナ情勢はマレーシア航空の墜落現場の調査も中止されたまま、ますます混沌となってきている。東ウクライナのドネツクやルガンスクの戦闘行為によって行き場のなくなった市民が戦火を逃れてロシアに難民となって避難。一方、首都キエフでは、5月以来平穏だった独立広場で再び政府に対する抗議行動が再発、燃えさかる火の手の中で政府軍と抗議集団との間で多数の死者が出る事態となっている。
ウクライナの混乱はパレスティナ、イラク、シリアの戦闘と共に、ハルマゲドンのきっかけとなる可能性が次第に高くなって来ているように感じられる。どうやら、今、世界は取り返しのつかない大きな争いの渦(うず)の中に巻き込まれようとしているようである。
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