世界経済の低迷が続く中、上昇し続けている世界の株価。そのえせの経済成長の演出に一役買っているのが日本のアベノミクスと日本銀行の資金ばらまき政策である。先日、日銀の国債の大量買い入れによって、1万4000円台に沈んでいた日経平均は1日で600円を越す株高を機に、7年ぶりの高値17000円台に向かった。
ところが、昨日発表された7〜9月期のGDP〔国内総生産)成長率が前期比、マイナス0.4%、年換算で1.6%となったことを受けて一気に517円の下げとなった。GDPの下げは4〜6月期のマイナス1.6%(年換算6.8%)についでの2期連続の下げであった。
4〜6月期のマイナスは消費税の影響によるものとして市場はあまり気にせず、7〜9月期は2%の上昇を予想していただけにショックは大きく、株価は一気の下げとなったというわけである。
今回の7〜9月期のマイナス成長は海外でも大きく取り上げられ、昨夜の英国BBCニュースでは世界第3位の経済大国の景気低迷が世界経済に及ぼす影響は大きいと報じている。
安倍政権誕生以来、マスコミが伝えてきたアベノミクスによる景気回復とは裏腹に、国民の多くがその恩恵を実感しておらず、家計は日に日に厳しくなっているのが現状である。1ドル=70円台から115円台へ進む円相場の下落も物価の上昇をもたらし、さらに家計を厳しくしている。
先日、インターネットでボーナスについての調査が行われ、その結果が発表された。それによると、ボーナスが増えた人は12%、減った人は23%、変わらずが20%、残りの45%はボーナスはなしとなっている。増えた人はトヨタなどの輸出企業関連の大企業に勤めている人で、その倍近くの人は増加どころか減少しているのである。
中でも、驚くのはボーナスがない人の比率が、今や45%に達しているという実体である。それは、ボーナス支給の対象とならない臨時雇用者の数が急激に増えていることを示している。
リーマンショック後の米国の雇用統計を見ると、失業者の比率が10%台から5%後半へと改善されたとされているが、その
実体は、長く続いた雇用の悪化のため求職を諦めた人が急増したことと、時間給
や日給といった非正規社員としての採用増が要因で、内容を伴った失業率の低下でないことは、これまでに何度も伝えて来た通りである。
日本の失業率の改善の実態も米国と同様で、マスコミが伝える景気回復とは裏腹に、年収が年々厳しくなってきているのが実体なのである。そんな状況下、安部首相はなんともおかしなことに
、突然、衆議院の解散総選挙を実施しようとしている。党利、党略の大義名分のない総選挙。暮れの忙しい時期に、一体どれだけの人が投票に行くことになるのだろうか?
どうやら、我が国も政治、経済面において、いよいよ正念場を迎えようとしているようだ。
問題は1100兆円を超えてさらに増え続けているた国の債務である。現在は世界一の低金利となっている日本国債だが、いつまでもこの状態が続くという保証はない。これから先、もしも格付けが下がり金利が米国国債並みに(2.5%)に上がっただけでも、金利支払いだけで40兆円を越して、国家収入の多くが消えてしまう事態になる。
こうした実体から目を背け続けた後に来るものは、国家破綻「デフォルト」しかない。どうやらその影が次第に目に見える形で姿を現し始めて来たようだ。