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西アフリカでエボラ出血熱の感染が前例のない勢いで拡大している。
この病気は当初、風邪のような症状から始まり、進行すると血液が凝固しにくくなり、体内や体外で出血が起きたあと、10日前後で死に至る例が多い。
世界保健機関(WHO)が7月1日に発表したところでは、今年3月から確認された患者数は759人に達し、そのうち467人が死亡し
ている。心配なのは患者数と死者の増加ペースが前例がないほどに早いことと、ウイルスが西アフリカだけでなく既に海外で確認されているという点である。
感染の中心はギニア、シエラレオネ、リベリアなどの西アフリカ諸国で、6月21日に「国境なき医師団」が「西アフリカでエボラ出血熱が広がり、制御不能状態となっている」と警告を発表した時点では、死者の数は350人
。それがわずか10日後の世界保健機関(WHO)の発表では、上記の通り467人と急増している。
この病気の恐ろしいところは、致死率が90%と高いことと、ワクチンや治療方法が発見されていない点である。WHOは2日、3日の両日、ガーナの首都アクラで11
ヶ国の厚生相による緊急会合が開催され、先進国に資金的支援の要請が発表された。「国境なき医師団」の発表を見る限り、感染
防止は時間との闘いの段階に来ているようなので、関係国の対応が急がれるところである。
更に心配なのは、現地を訪れた観光客が既に世界各地にウィルスを持ち帰っていることである。米国人観光客数十人の感染が確認されており、ウイルスはカリブ海や南米で
も広がっている可能性が指摘されている。 一番の恐れはブラジルでの感染だ。 もしも、ワールドカップが閉幕したあと
、世界各国に帰国する340万人のサポーターの中に、ウィルス感染者がいたら一大事である。
これから先我々を待ち受けているのは、自然災害や経済崩壊、社会動乱、戦争などだけではない。 致命的な感染症の広がりもまたその一つである。小さな村落など感染エリアが限定的で、感染者が少人数の内に隔離が出来ればよいが、先進国に広がり感染ルートが複雑化してしまっては、手の施しようがなくなってしまう。
しかも、エボラ出血熱のようにワクチンや治療方法がなく、致死率90%という感染症の拡大は、人類にとって大変な脅威となる。今回は何とか世界的な拡大は抑えられたとしても、
もしも、自然災害や経済崩壊、社会動乱、戦争などと同時発生するようなことになったら、感染拡大は制御不能となり、人類全ての脅威となるに違いない。
そして、その可能性は次第に高まって来ているように感じられる。