リーマンショックによって、2009年2月には7062ドルまで下落したダウ平均はその後上昇し続け5年半の今年9月19日に史上最高値1万7350ドルへと、なんと250%近く上昇。驚異的なこの上昇の要因は、FRB(連邦準備理事会)による
ゼロ金利政策金利(金利を0%まで下げること)と、量的緩和と称する金融市場への大量な資金(4兆ドル=400兆円)のばらまきによるものであることは、既に記してきた通りである。
そのFRBが2年前の2009年の9月以来の第3次量的緩和政策(1兆6000億ドル=174兆円)を、いよいよ10月で終了するところとなった。 あとは、ゼロ金利をいつから上げ始めるかである。こうした状況下、ユーロ経済圏の先行き不安感やエボラ出血熱の米国への拡散不安から下落
していた米国の株式市場は、8.6%下落したあと、再び上昇に転じ始めた。
昨日のニューヨーク市場は221ドル高で史上最高値17350ドルにあとわずか150ドルとなった。10月16日付けの記事「世界経済の崩壊」で
記した、私の予測「人為的な操作の面があるので100%確かとはいえなが、しばらくは上がり下がりはあっても、史上最高値に向かうということは、もはやあり得ないように思われる」
は、見事外れることとなりそうである。
もしも、これから先も上昇傾向を続けるようなら、6月の「上昇し続ける欧米の株式市場」で記したように、次なるピーク18000ドルを目指すことになりそうである。正常な人間の目から見たら狂者や亡者どもの行動が理解できないように、今の米国の株価や債券市場の状況は、もはやまともな神経では推し量れない領域に入ってしまったようだ。
次なる下落場面は、ユーロ圏の経済破綻か中国における第2のリーマンショックの発生時となりそうであるが、ユーロ圏では、
先のユーロ危機をもたらしたギリシャ国債がここに来て再び急落し始めており、利回りは8%目前に迫ってきている。また、ユーロ圏の経済成長の牽引役
となってきたドイツが、ロシアへの経済制裁の影響を受けて成長率が急降下、GDPの延びはゼロへと向かっている。
一方中国は、かって14%台にまで達していたGDP
が2011年以来急降下し、今年は6%台にまで下落する可能性が出てきている。その大きな要因は経済成長の牽引役であった輸出産業と不動産市場の低迷である。特に不動産価格の大幅な下落は銀行の不良債権を増大させ、地方政府の財政を悪化させてきている。まさにリーマンショック直前の米国と瓜二つの状況となっている。
経済以外に目を転じれば、世界に広まるイスラム国の
脅威、エボラ出血熱の蔓延、キラウエア火山に代表される世界的な火山の活発化、福島原発の廃炉作業の大幅な遅れなど、世界は今不安材料が次々と増して来ている。こうした状況下、株式市場だけがいつまでも順調であり続けることなど
狂気の沙汰である。これから先、遅かれ早かれ市場崩壊は必ずやってくる。私はそう確信している。