最新のエボラ出血熱情報をお伝えしよう。WHO(世界保健機構)が発表した情報によると、ギニア、リベリア、シエラレオネなど西アフリカにおけるエボラ出血熱の患者と死者の数は急激に増え続けており、患者数は5800人、死者は2800人に達している。
8月30日付けの記事「WHO非常事態を宣言」では、死者の数が1500人に達したことをお知らせした。それからわずか3週間ほどで、2倍に近い数に達してしまっているわけで、半ばお手上げの状態であることが分かる。また、死亡率も相変わらず50%近くに達しており、治療効果は低いままである。
シエラレオネでは3日間の外出禁止期間中、ボランティアが家を一軒一軒回って情報を提供しながら体温を計ったりして、患者の発見に努めた。その結果、首都とその近郊だけでも130人の患者と70人の遺体が発見されている。シエラレオネの一部のエリアだけでもこうであるから、ギニアやリベリアなどを含めた西アフリカ全体では、隠れた患者や死者の数がいかに多いかが分かろうというものである。
エボラの患者には入院が必要だが、多くの患者を受け入れるだけの施設がなく、また医師や看護婦の数も不足しており、今でも患者の治療を十分に行えていないのが実体である。リベリアに至ってはさらに状況は深刻で、前回の「WHO非常事態宣言」で記したように、首都モンロビアの市街地の路上で倒れたまま、息を引き取る患者が出ている有様である。
そうした状況は今も変わっていないようで、病院の前では何時間も待っていても放置されつづけ、名前が呼ばれるまでには何日もかかるるケースが多いようだ。救急車で10人の患者を運んできた運転手は、車の中で待っている間に3人が息を引き取ったと語っている。伝えられる情報の中には、放置された遺体を犬がかみちぎっているというものもある。
先日、オバマ大統領が3000人のアメリカ兵をエボラの流行地の、主にリベリアに派遣して、水や交通手段などライフラインを確保したり、治療施設の設営などにあたらせる、というニュースが流れた。これとて、インフラの整備に当たるだけで、治療に関わるわけではない。実際には
死体の収容と埋葬に従事する兵士の方が多いのではないかと思われる。
エボラ出血熱については、現地で奇妙な風聞が広がっている。「AFP=時事」が伝えたところでは。現地では「エボラ出血熱は存在しないと主張する人々」や「ウイルスが欧米諸国によってつくられたものだ」とか主張する人々がいるようである。
自分の家族や友人など身近な人が感染しているにもかかわらず、感染症そのものが作り話というのは、なんとも不思議な話であるが、現地に滞在していたセネガルのシーク・イブラヒム・ニャンゴ氏は彼らがエボラ出血熱を否定する裏には、想像以上に複雑な問題が存在していると指摘し、与えられるべき情報が与えられず、権力に操られていると感じているためではないかと、語っている。
一方、ウイルスが米国から意図的にもたらされた生物兵器の一種であるという説については、実は、我が国でも巷間耳にする話である。先日ある読者から、予知夢を見るお婆さんから「エボラウイルスも人工削減が目的で広められている」という話を聞きました、というメールが寄せられた。確かなことは分からないが、最近は「何でもありき」の世の中であるからして、頭の隅に入れて置かれた方が良いかもしれない。