日本にはたいして影響を及ぼさなかった台風20号は、太平洋を北東に進んだ後ベーリング海で異常に発達し、このエリアでは観測史上初めての920ヘクトパスカルという超低気圧ハリケーンとなった。この影響を受けて、アラスカ沿岸部は希に見る暴風雨と季節外れの高温に襲われ、アンカレッジでは10日の真夜中の気温が10.6度、緯度の高いこの地方では真夏の気温となった。
一方、この異例な低気圧はアメリカ大陸を一気に南に向かって南下、この影響を受けてカナダに張り出していた北極からの寒波を米国北部から中西部、さらには南部のメキシコ湾にまで押し出し、各地に寒波や大雪などの異常気象をもたらすところとなっている。11月もまだ前半だというのに、まさに冬の嵐の到来である。
昨日10日の月曜日、ミネソタ州では30センチを超す大雪、ウイスコンシン州やミシガン州では大雪と寒波の警報が出され、広く8州に渡って600万人に影響が出そうである。この冬の寒波の異常さは季節外れの寒さや大雪だけではなく、希に見る気温の急降下が特徴となっている。
デンバーでは10日、午前10:00の気温は21度、ところがわずか15分経過した10:15には9度となり、午後2時にはマイナス4度、その後、さらにマイナス11度まで急降下している。わずか10数時間の間に32度の急低下であるから驚きである。米国ABCニュースはその急激な気温の下がり様を「RAPID
TEMP DROP]と表現している。
米国が今年の冬、異常な寒波に見舞われたことは何度もお知らせしてきたので、読者も記憶しておられることと思うが、これから先、米国は12月後半から2月にかけて、この冬をさらに上回る記録的な寒波と大雪に見舞われそうである。それは、欧州や日本を含むアジア北部においても言えるのではなかろうか。対岸の火事では済みそうもなさそうである。読者におかれては備えを怠りなく!