WHO未承認薬投与を承認
既に2回のHP掲載でその危機を案じていたように、ギニア、リベリア、シェラレオネ3国のエボラ出血熱の感染者と死者が急速に拡大を続けており、死者の数は既に1000人を超え、感染者は1848人に達している。7月1日の段階で死者数が467人だったので、わずか1ヶ月余で死者数は倍増していたことになる。この調子では、死者数が2000人を越すのはもはや時間の問題である。
そうした緊急事態を受け、12日、WHO(世界保健機関)がエボラ出血熱に対する未承認薬の投与を承認することに踏み切った。国際的に公な機関が人体実験を行っていない薬剤投与を承認することは、異例中の異例である。今回の処置は、医療関係者がいかにエボラ出血熱に危機感を持っているかを示している。
この治療薬はジーマックと呼ばれるもので、米国の製薬会社が開発中の薬である。マウスをエボラ出血熱に感染させて作られた抗体を、特別なバクテリアを用いてタバコの葉に組み込み、採取した葉から抗体を抽出する過程を経て作られたものである。
ただ現段階では、まだ猿を使った実験しか行われておらず、人間に効果があるのか、たとえ効果があったとしても、どのような副作用が伴うのかなど、まったく分かっていないのが現状である。そのような「一か八」かの薬剤であるが、WHOは感染の拡大をこれ以上増やすわけにはいかない状況下では、倫理に叶った措置だと承認の正当性を主張している。
この未承認の治療薬は、リベリアで患者の治療に当たっていたスペイン人の医師・ミゲル・パハレス神父とアメリカ人の医師2人にのみ投与されている。米国に搬送されアトランタの病院に隔離されている米国の2人は回復に向かっているようであるが、スペイン人医師は12日、搬送先のスペインの病院で亡くなっている。
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命がけでエボラ出血熱の患者の治療に当たる医療関係者たち
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エボラ出血熱の死亡率は一般的には90%と言われているが、ウイルスの種類によってまちまちのようで60%とやや低めのものもあるようだ。したがって、米国の医療関係者2人が治癒したとしても、治療薬に効果があったと断定することは難しい。それに、現段階では治療薬の在庫は非常に少ないようなので、2000人を超そうとしている患者全員に使うわけにはいかないことは確かだ。
現段階では、感染者は西アフリカ3ヶ国とナイジェリアに限られているが、問題はどこまでこの4ヶ国でとどめられるかという点である。感染から発病までには、およそ10日から20日ほどを要するようなので、発熱等の症状が出る前に感染者が他国に出国したら拡大は防ぎようがない。
西アフリア3ヶ国やナイジェリアを始め、我が国など世界の主要国では空港の出入国時に体温によるチェックを行っているが、発病前の出国・入国検査では完全に防御できないのが現状である。現にナイジェリアに入国した感染者は出国時には発病しておらず、機内で発病したため本人と治療に当たった医師の2人が死亡している。もしも、発病が数時間遅れていたら、感染者は一気に増えるところであった。
日月神示など数多くの預言書で伝えられているように、これから先、新世界の誕生を前にして、自然災害や動乱・戦争などと共に未知のウイルスや治療法のないウイルスが蔓延し、多くの人々を死に至らしめる可能性が高い。
それだけに、エボラ出血熱に限らず鳥インフルエンザなど感染率と死亡率の高いウイルに対しては万全の備えが必要になってくる。今回のエボラ出血熱の拡散をどこまで防ぐことが出来るか、人類は今、試されているようだ。
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