リビアも内戦化に向かう
|
|
|
|
リビアの首都・トリポリの国際空港は、イスラム系のミスタラ民兵組織によって制圧された
(ABCニュース)
|
|
中東と北アフリカで独裁的な政権が相次いで崩壊した2011年の「アラブの春」、アフリカ北部のリビアでは42年間にわたって支配してきたカダフィー政権が転覆。あれから3年、
リビアでは治安維持を担う政府の機能がほとんど機能しない中、部族や宗派に基づく民兵組織同士の戦闘が続き、次第にその勢いを増して来ていた。
そんな情勢下、地中海に面した首都トリポリの国際空港がイスラム系の
ミスタラ民兵組織によって制圧されたというニュースが流れた。これまでジンタン民兵組織が支配してきていた空港は既に機能不全状態に
陥っていたので、単に支配者が変わっただけのこと。 はっきりしたのは、弱体な国軍にはもはや民兵組織を押さえるだけの力がないことだ。
こうして、リビア国民の民主化への期待は裏切られ続け、混乱が収束する気配は遠のくばかりである。機能を果たせない議会を解散させ別の議会を設立する動きも出ているが、カダフィー政権打倒という共通の目的で手を結んでいた民兵組織は、その後、しだいに対立を深めているだけに、新しい議会も機能しないまま現在の政権は崩壊し、リビアは無政府状態となって内戦状態に突入する
ことは、もはや避けられなくなってしまったようだ。
中東と北アフリカでは、これでまた一つ悲惨な内戦国家が誕生し、多くの国民が悲惨な状況下に置かれることになりそうである。
心配なのは、こうした事態がハルマゲドンへと導く導火線の火付けの一つとなることである。
|
|
|
|
国軍が民兵組織を押さえ切れず、リビアはもはや内戦状態に突入してしまったようだ
|
|
対立を深めるイスラエルとイラン
|
|
|
|
イランの地対空ミサイルで撃墜された、イスラエルのものと思われる無人偵察機
|
|
イランの革命防衛隊は25日、中部ナタンズにある国内最大のウラン濃縮施設の上空に接近してきた無人機を地対空ミサイルで撃墜したと発表し、機体の残骸の写真を公開した。
写真には、無人機の胴体とみられる円すい型の物体などが写っており、革命防衛隊のハジザデ司令官は、撃墜したのはカメラを搭載したイスラエルの無人機だと断定したうえで、いくつかの機器はまだ作動しているため、情報を解析している
ところだと語っている。
司令官はさらに、我々には報復する権利があるとして、現在イスラエルが制圧しているヨルダン川西岸に武器を供給する考えを示した。
一方、イスラエルでは、撃墜についてはメディアが報じているが、政府の反応は伝えられていない。
イランの核開発問題を巡っては、包括的な解決を目指して、イランと欧米など関係6か国の協議が続けられているが、イスラエルはイランの核開発を安全保障上の最大の脅威と位置づけており、強硬な姿勢を崩していない。
現にネタニヤフ首相はイランと欧米の協議の最中も、しばしばイランの核開発に対して懸念を述べている。
今回、このニュースを聞いて衝撃を受けたのは、イスラエルがいよいよ国連や欧米など6ヶ国の協議を無視して、自らイランの核開発の実体解明に乗り出し、イランの核の脅威を世界に訴えようとしたことである。
|
|
|
|
イスラエルには1981年に、イラクの原子力施設を一方的に空爆した過去がある
|
|
読者は覚えておられないかもしれないが、イスラエルはこれまでに「自衛」を理由に、周辺国の核関連施設への先制攻撃をしかけた経緯がある。1981年に行われたイラクの原子炉爆撃事件や、2007年のシリアの核関連施設への空爆などが、その代表的な例である。
それだけに、もしもイスラエルが今回の無人機による偵察で核開発に関する何らかの証拠をつかむことが出来たら、諜報機関・モサドがこれまでに集めた情報と合わせて世界に発表し、
時を置かずして一方的に爆撃を加えていた可能性がある。
現に、最近トルコはイスラエル、アメリカとの共同軍事演習をキャンセルしているが、これは、イスラエルによるイラン空爆の可能性に反対しているという、シグナルを送るためだったと言われている。どうやら、トルコだけでなく、イスラエルの攻撃の際に上空を侵犯される可能性のあるヨルダンやクエートなどの周辺国は、空爆の可能性を既に想定しているようである。
もしもそのような
想定が現実となったら、今のイランは軍備も増強され、それなりの対抗手段を持っていると思われるだけに、ミサイルなどによってイスラエルへの報復攻撃を実施する可能性は大である。
その時にはイスラエルにおいても、パレスティナのガザ地区からのロケット攻撃とは桁違いの被害が出ることは間違いない。
その際に一番心配されるのは、イスラエルの核兵器保有施設への爆撃である。イスラエルは核兵器を所有していることを正式には認めていないが、世界は皆承知の事実である。
また、イランとて既に数発の核弾道を保有していないとは限らない。
それだけに、今回の無人偵察機の爆撃事件は、パレスティナへの軍事援助程度ですむかもしれないが、
ロケット弾の砲撃合戦にでもなったら中東諸国だけでなく、欧米やロシア・中国を巻き込んだ軍事衝突へ発展し、まさにハルマゲドンに向かうことなりそうである。
なんと言っても気になるのは、「月食と中東情勢」に記したように、今年から来年にかけて、「過越の祭り」や「仮庵の祭」などのイスラエルの諸祭事がブラッドムーン(血の月)と呼ばれる赤みがかった満月が見られる皆既月食と4回にわたって重なっていることである。
2014年04月15日 皆既月食 過越の祭りの初日
2014年10月08日 皆既月食 仮庵の祭の前夜祭
2015年04月04日 皆既月食 過越の祭りの初日
2015年09月28日 皆既月食 仮庵の祭の初日
この極めて珍しい同様な巡り合わせ現象があった、1948年〜1949年と1967年〜1968年には
、第1次中東戦争と第3次中東戦争が勃発している
ことを考えると、パレスティナのガザ地区への攻撃と今回のイランへの無人偵察機による偵察行為は、決して見過ごせるものではない。いずれにしろ、この秋から来年にかけての向こう1年、中東情勢からは目が離せない状況が続きそうである。
|