現在、顔の認証や自動車の自動運転などに「AI(人工知能)技術」が利用され始めていることは、読者も既にご承知のことと思う。実はこうした「AI技術」は日常生活で利用されているだけでなく、軍事面でもロボット兵器として急速に開発されて来ており、その出現を危ぶむ声が上がっているのである。
今年5月に発表された国連の報告書の中に、シリアの内戦で「AI技術」を使ったロボット兵器が使われたことが記載されており、AIが人を殺すという事態が現実味を帯びて来たとして、世界に衝撃を与え始めているのである。戦場の上空を飛ぶ小型ロボットが挿入されたソフトで地上にいる人間を敵対する兵士と認識し、ロケット爆弾を発射することになるのだ。
ロケットが敵と味方を識別する能力を持っていたとしても、兵士と一般人との認識がどこまで正しく出来るか考えると恐ろしくなってくる。現に実戦の場を映した映像には、兵士と一緒に岩陰に隠れようとしている一般人をめがけてロケット弾が発射されている場面が映されていた。
国際的な人権団体である「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」はこの自律型兵器の開発に力を入れている国として、中国・イスラエル・ロシア・韓国・イギリス・米国の6カ国を上げている。その中でも開発が最も進んでいる国はロシアであるが、私が驚いたのはその6カ国の中に隣国・韓国がが含まれていたことであった。
AI(人工知能)を活用した兵器開発は戦争の様子を一変することになりそうであるが、危惧されている点は、コンピューターウイルスによる誤作動によって、一般人を巻き込む可能性がある点だけでなく、人が人を殺すという罪悪感から解放されるため戦争に対するハードルが下がってしまう点である。
そのため、自立型兵器の規制については6カ国もその必要性は受け入れているようであるが、そのルール作りでは各国の事情もあって難航しているようである。いずれにしろ、兵器に挿入されたソフトの判断で人を殺すような戦争が始まったら、その行きつく先は悲惨であることは明白である。ロボットには罪悪感も無ければ、感情をコントロールする力もないのだから。
これから先、我々がこんな恐ろしい戦争に遭遇することが避けられないなら、その前に「地球の再生」現象が起きて欲しいものである。