8月31日の米軍のアフガニスタンからの撤退期限が迫る中、首都カブール空港にアフガンを離れようとする500名を超す多くの市民が集結していることについては既にお伝えしてきた通りであるが、26日にはとうとう恐れていた事態が発生するところとなった。
一つはテロ集団IS(イスラミックステート)の戦闘員が空港の集団市民の中で行った自爆テロの寄るもので、米軍の兵士12名を含む60名の死亡、150人を超す人々が負傷する事態となった。またその後には、近くのホテルで同様な爆発事件が発生しているが、未だ死傷者などの詳細は明らかになっていない。
こうした空港内での事故は十分に予想されていたことであるが、なぜ危険な空港に多数の市民が集まり留まっているかというと、アフガンの国民にとって
いま最も危険なことは「国内に留まること」であるとされているからである。
これまで米軍の支援してきたアルカイーダ政府に対してISとタリバンはともに反対勢力であるが、ジハード(聖戦と呼ばれる戦闘)方法に違いがあり、タリバンが権力を握って国を支配しようとしているのに対して、ISはあくまで暴力行為を行い国を混乱状態にするためのテロ集団の域を出ていないのである。
こうしたISに対してバイデン大統領は
「この攻撃を仕掛けた者、また米国に危害を加えようとする者たちを決しして許しはしません。彼らには代償を払わせます」と語っていたが、それをなそうとするなら、撤退させた兵士や現在空港を管理している6000人の兵士を9月以降も駐留させるざるを得なくなってくる。
これでは、大統領の主張する8月末までの米軍の完全撤退は成就されない。これから先、米国と米軍の背負った巨大なカルマは、国民を一段と厳しい立場に追い込むことになりそうである。背負ったカルマの刈り取りは
、大統領の発言の様に決して容易なものではないのだ。そのことをこれから先、米国国民は日増しに実感することになるに違いない。