米国社会を揺るがす「幽霊銃」
懸念される財成破綻時の市民による銃撃戦
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恐ろしいことに、こうした銃は自宅で簡単に組み立てることが出来るのである。
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米国における銃犯罪事件の発生についてはこれまで何度もお伝えしてきたが、
昨日もまたアイダホ州のショッピングモールで買い物客を狙った発砲事件が発生し2人が死亡、6人が負傷。こうした事件は止むことなくこれから先、ますます増えることになりそうである。
そうした事件の多発の要因の一つとなっているのが「幽霊銃」の存在である。「幽霊銃」とは何か?
読者は耳にしたことのない言葉だと思われるが、それは
自宅で簡単に組み立てることのできる製造番号が記されていない未登録の銃のことである。
こうした銃は日用品の組み立てなどが出来る人ならだれでも簡単に作ることが出来るようである。しかし、製造番号がなく登録が為されていないと殺傷事件が発生した時、警察は銃の入手経路をつかむことがむずかしく、事件解決には10倍の労力が必要になってくるようだ。
それではこうした「幽霊銃」が米国における殺傷事件でどのくらい
使われているかというと、その数は2015年から2020年の5年間で2万3000丁以上に達しており、最近はその割合は4丁に1丁となっているようだ。部品の価格は完成品の銃の半分近くの5万円程度で手に入り、登録せずに済むため、「幽霊銃」の所持者の数は年々増して来ているようである。
このため、「幽霊銃」は犯罪者が合法的に入手することが出来る危険な抜け道になっているようだ。部品は銃販売会社で自由に購入できるのだが、
テレビ局のインタビューで販売店の経営者は、そうした販売を問題だとは認識しておらず「銃を作ることは人々に与えられた
正当な権利だ」と語っていた。
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銃の販売店には「幽霊銃」の部品が並んでいる。
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さらに最近はプラスチック製の「幽霊銃」も出回っており、司法当局の幹部はプラスチック製だと武器と気づかず、空港などの金属探知機をすり抜けてしまうため、「安全を大きく脅かすものだ」と
幽霊銃について強い危機感を語っておられた。実際に機内でそうした銃によるトラブルが発生しているようである。
先日のニュースはワクチン接種の義務化によって多くの警察官が失職し、人手不足が懸念される中、護身のために銃を求める人が増えており、殺人事件が30%増加していることを伝えていたが、その多くに幽霊銃が使われていたようである。
また、日本ではあまり報道はされていないが、コロナ禍の中で多発している争いごとや生活苦から逃れるために起きている自殺行為にも、多くの幽霊銃が使われている
ようである。どうやら、世界の覇権国家となって栄華を誇ってきた米国はこれから先、
他国には存在していない「幽霊銃」による多くの悲惨な殺傷事件や自殺等が多発することになりそうである。
こうした「幽霊銃」の規制について強化すべきかどうかについては政治家の間でも意見が分かれており、民主党は規制強化の条例を進めようとする一方、共和党はそれに強く反対しているようである。
共和党が反対する要因は銃器販売会社からの支援を受けているからであるというから、なんともはや、嘆(なげ)かわしい限りである。
米国は10月からの新年度が始まったところであるが、政府の財政不足から政府機関の閉鎖や財政破綻の危機に見舞われている。毎年の様に続くこうした危機的状況はいつデフォルト(債務不履行)
の発生に進むことになるか分からず、もしも、そうなったら経済界は壊滅的な被害を受け、何百万人の人々が職を失うことになる。
その時、待ち受けているのは失職者による幽霊銃を使った銃撃事件の発生である。そうした事態にならないことを願っている。
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「幽霊銃」の部品。
こんなわずかな部品で完成できるのだから「幽霊銃」の所持者が増加して当たり前である。
「幽霊銃」の名前は被害者を幽霊にすることからつけられたもののようである。
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