いま米国では原油の先物価格の上昇により、ガソリン価格が1年前に比べて1・7倍も急上昇している点については前回「米国でガソリン価格高騰」でお知らせした通りである。そのため日常生活における記録的な物価上昇が発生し、米国民の間では苛立ちや怒りがつのっており、バイデン大統領の支持率は就任以来最低の水準に低下しているようである。
大統領はこうした状況を受けて、緊急用の石油備蓄から5000万バレルを放出することを発表。それを受けて、日本やインド、中国なども足並みをそろえることとなり、各国とも備蓄石油の放出に同意することとなり、岸田首相は「米国と歩調をあわせ国家備蓄石油の一部(国内需要の数日分)を売却することを決定した」と発表。
しかし、こうした動きの中で、国際的な原油の先物価格(WTI)は米国の放出する量は想定の範囲内だとして値下がりどころか、1バーレル76ドルから79ドルに上昇する事態となっている。どうやらバイデン大統領の中途半端な備蓄放出量は逆効果となってしまったようである。
一方、原油産出国の「OPEX諸国+ロシア」はこうして事態に対して強気の動きを示しており、もし12月2日に行われる「OPEX諸国+ロシア」の会合で増産に踏み切らないことになるようだと、価格の上層はさらに高まることになるかもしれない。
原油価格の上昇はガソリンだけでなく灯油価格の上昇にもつながるため、冬場を迎えるこの時期、我々の日常生活にも影響が出てくることは必至である。今年の冬の寒さは厳しいものになりそうなので、念のため、車は満タンにし、灯油も早めに用意しておいた方が良さそうである。先ずは12月2日の「OPEX諸国+ロシア」の会合の結果を見守ることにしよう。