2000キロを旅する
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羽に「リノ 3346」と記されたアサギマダラ(クリックで拡大) |
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私と同じ町に住む知人に高見沢さんという方がおられる。彼は御自身の部屋から撮影した富士山の写真をブログに掲載しておられるが、その方が先日八ヶ岳山麓で撮影した蝶・アサギマダラの写真をパソコンの画面で確認したところ、蝶の羽に「リノ3346」という文字が書かれているのに気づかれた。
彼はどなたかが捕獲した蝶にマジックペンで記して野に放ったのだろうと思いながら、その蝶の写真をブログに掲載されたようである。すると翌日、
あなたのブログに掲載した蝶は私が羽に文字を書いて放った蝶ですというメールが届いた。
驚いてその方に連絡をとったところ蝶は色々な所へ飛び立っていくので、羽根に文字を書いておくと捕獲した人がブログやHPに掲載するので、その方に連絡をとって、どのくらい遠いところまで飛んで行ったか調べているんです、ということであった。
その方の住まいは群馬県の東吾妻町
(ひがしあがつまちょう)であったので、蝶が捕獲された北杜市とは80キロ程離れており、標高は捕獲された標高1000m程の山中と比べると400mほど低い場所であった。どうやら、このアサギマダラは群馬県から標高差400m、距離80キロ離れた八ヶ岳山麓にたどり着いたようである。
高見沢氏が驚いてその方にメールすると、アサギマダラに文字を書いて放った方は「アサギマダラは、群馬県から山梨県や長野県位の距離位は簡単に飛んでいき、中には台湾まで飛んで行った蝶もあるそうで、その距離は2395キロメートル、移動日数は80日であった
」ことを教えてくれた。
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私が2010年に撮影したアサギマダラ
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そんな話を聞いた私は早速ネットで調べてみたところ、この蝶は非常に長い距離を飛ぶことで有名で、日本から台湾や中国本土まで2000キロ以上飛んだという記録も残されていると書かれていた。どうしたアサギマダラはこんなに長い距離を飛ぶことが出来るのだろうか?
調べてみると、その第一の理由としてこの蝶は毒を持っていることが挙げられていた。アサギマ ダラの幼虫が食べる草の葉と成虫が好んで吸うカラタチの花の蜜には毒が含まれているため、アサギマダラの体も毒を帯びており、鳥などから攻撃されることがないため飛ぶことに専念できるからではないかと考えられているようだ。
また、成虫の寿命そのものが4〜5か月と蝶としてはかなり長く、その分長い時間にわたって飛ぶことが出来ることや更に、風に乗って飛ぶのが上手であることもその要因の一つとなっているようである。いずれにしろ、体長が10センチにも満たない小さな蝶が我が国から日本海を渡って台湾まで飛ぶことが出来るのは驚きである。
海を渡っている時には羽根を休める場所がそんなにあるわけでないのに、なぜ数百キロ、数千キロを飛び続けることが出来るのだろうか?。なんともはや不思議である。
どうやら野鳥や蝶たちには人間にはない超能力が色々と保有されているようである。
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アサギマダラの主な移動ルート
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