電力制限と不動産市場の落ち込みがもたらす
中国経済の失速
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中国ではこうした住宅ビルの乱立で、不動産関連企業の倒産が相次いでいる。
その代表的な例が負債総額が33兆円に達した恒大グループの経営危機である。 |
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コロナ禍で世界的に経済の低迷化が進む中、中国は今年も第2四半期まで7.9%という高い伸びを続けて来ていた。しかし、第3四半期は4・9%と減速し、さらに第4四半期は4%を下回ることになるのではと予想されている。
その要因となるのが政府の政策転換である。つまり、これまで共産党政権は経済成長を最大の政策として進めて来ていたことから国民の間に格差が広がり、こうした富裕層と貧者との間に広がった格差を抑えるために、
習近平政権は今までの政策から転換し経済面で規制を強化する方向に向かうことになったのだ。
つまり、富裕層の投機的な不動産への投資で不動産価格が高騰し、庶民の手の届かない所まで達してしまった上に、教育費も急騰し子供一人を大学まで卒業させるには3000万円もの費用が掛かる程になってしまったのだ。
そのため、裕福な人はどんどん裕福になり、貧しい人は住む家もなく高度な教育も受けられない状況と化してしまい、このまま進むと庶民の不満が爆発する可能性が高まってきたことから、それを恐れた習近平主席は成長一辺倒から政策転換するところとなったのだ。
その一例として、加熱する受験競争の中での行われてきた学習塾などの教育産業にも厳しい規制が導入され、新たな塾の開設は認めず現在の塾は非営利的な組織にせよとする命令が下るところとなっているのである。
また一方で、脱炭素政策を進める政策の結果電力制限の影響が広がり、原材料が値上がりし自動車産業を始め鉱工業生産や製鉄関連が軒並み2桁のマイナス成長になるなどの影響が出てきている。また不動産市場も恒大集団の経営危機の影響を受けて冷え込んできており、長い
間上昇し続けてきた住宅価格指数は全国100都市のうち43都市で8月から下落が始まっている。
不動産価格の値下がりは経済成長を停滞させかねず、河北省や湖南省などの地方都市では値下げ制限令を出す事態となっている。これまで中国経済はコロナ禍の中で世界で唯一高い成長率を遂げて来ていただけに、11月以降来年に向けて成長率が
一気に伸び悩む事態となった時には、世界経済は一段と厳しい状況下に置かれることになりそうである。
その結果、経済を反映する株式市場が調整局面に入ることになるようなら、世界的な同時株安となる可能性があるだけに、我が国の株式市場も備えはしておいた方が良さそうである。
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中国経済の失速は世界各国の経済の崩壊を導くことになりそうである。
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