和平交渉破綻の行く末
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昨年より、米国が仲介してのイスラエル政府とパレスティナ自治政府との和平交渉が進められていたが、イスラエルによるパレスチナ自治区内での入植(住宅)地建設活動が交渉のハードルになって、一時交渉が中断していた。
その後、ケリー米国務長官の強い意向で交渉再開に向かうかに見えたが、24日になって、イスラエル側がパレスチナ自治政府とイスラム原理主義組織ハマスが統一政府樹立で合意したことを受け、再び交渉再開の目処が立たなくなったまま、決裂状態となってしまった。
交渉期限の4月29日をすでに過ぎてしまったことからして、どうやら、これで和平交渉は完全に破綻してしまったと考えて間違いないようである。もともと今回
の和平交渉の難しさは世界が認めていたことだけに、米国を始め各国から特段落胆する声は上がっていない。
問題は、今回の交渉決裂によって、イスラエルによるパレスチナ自治区内での入植活動がさらに活発になることと、パレスナ自治政府とハマスとの統一政府樹立によって、
両国の対立が一段と深まって来ることが予想されることである。
ハマスの代表者の話など聞く限り、ハマスの「イスラエルを承認しない」という考えは今もなお変わっていないからである。
さらにシリアやレバノン情勢の不安定化が進んでいることやイランの核開発が本格化してきていることを考えると、イスラエルの中東諸国への武力行使が再び始まるのはないかと心配である。
現に、国連の安全保障理事会での討論の場で、中東和平の要となるヨルダンのフセイン国連大使は、またもや流血の衝突が起きるのではないかと強い懸念を表明している。
もしも今度、本格的な中東戦争が起きたら、これはハルマゲドンに向かって進む可能性が大きいだけに、
いずれの国にとっても他人事では済まなくなってくる。
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そんな折、「積雪の富士と桜」に記したように、ブラッドムーン(血の月)と呼ばれる赤みがかった満月が見られる皆既月食が、今年の4月15日から来年の9月28日までの間に4回連続して発生する。問題はこの「テトラッド」と
呼ばれる極めて希な現象の全てがユダヤ教の重要祭事・「過越の祭り」(すぎごしのまつり)と「仮庵の祭り」(かりいおのまつり)の日と合致する
ことである。
2014年04月15日 皆既月食 過越の祭りの初日
2014年10月08日 皆既月食 仮庵の祭の前夜祭
2015年04月04日 皆既月食 過越の祭りの初日
2015年09月28日 皆既月食 仮庵の祭の初日
これだけでも奇妙な感じがするが、このテトラットと呼ばれる現象は私の知る限りでは、20世紀中に数回しか発生していないほど珍しい現象のようで、1948年〜1949年と1967年〜1968年に発生したテトラッドの際には
、第1次中東戦争と第3次中東戦争が勃発している。
第1次中東戦争(イスラエル独立戦争)(1948-1949年)
1949年04月13日 皆既月食 過越の祭り
1949年10月07日 皆既月食 仮庵の祭り
1950年04月02日 皆既月食 過越の祭り
1950年09月26日 皆既月食 仮庵の祭
第3次中東戦争(六日戦争)(1967年)
1967年04月24日 皆既月食 過越の祭り
1967年10月07日 皆既月食 仮庵の祭り
1968年04月13日 皆既月食 過越の祭り
1968年10月06日 皆既月食 仮庵の祭り
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第一次中東戦争はイスラエルでは「イスラエル独立戦争」と呼ばれており、イスラエル国家樹立の礎(いしずえ)となった戦争である。一方、第3次中東戦争は
「六日戦争」と呼ばれているように、 わずか6日間でエジプト、シリア、ヨルダン、イラクに対して、イスラエルが全面的な勝利を収めた電撃戦争であった。その結果、イスラエルはガザ地区とヨルダン川西岸地区の支配権を獲得し、占領地域を4倍に拡大するところとなった
のだ。
このように、イスラエル国家建設にとって歴史的な意味があるこの二つの戦争が、極めて希な現象であるテトラッドと合致していることは、イスラエル人なら誰で
もがみな熟知していることである。となると、今年から来年にかけてのテトラッドに合わせて、「アラブの春」以来、混乱状態が続いている中東各国との不安定な関係を安定化するために、新たな戦争を起こす可能性は決して小さくなさそうである。
パレスティナ自治国家との和平協議を何の成果もないまま打ち切る決断をしたことの裏には、そうした思惑が秘められているのかもしれない。また、
水面下でレバノンやイランとの関係はかなり厳しくなっており、特にイランの核保有に向けての動きを
、米国や欧米各国が阻止できないままでいることも、イスラエルにとって見過ごすことの出来ないことに違いない。
世界の目は今、ウクライナ情勢に集中しているが、一連の動きを「目くらまし」として利用する勢力もあるかもしれないので、イスラエルとパレスチナの動静からは目を離さないでおいて欲しいものである。
昨日、日本では伊豆大島沖近海でM6の地震が発生したが、タイでも同じ規模の地震が発生し被害が出ている。タイでは過去最大級の地震であったようだ。前回の記事にも書いたように、今年から来年にかけて、日食や月食、グランドクロスなどの希な天体現象が連続的に続くくことになる。
そうした宇宙の動きが天変地異や社会動乱を発生させる可能性は無視できないので、日々、用心を怠りなく願いたい。
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