☆
中国の李克強首相は5日、日本の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)で行わている政府活動報告の中で、2014年の経済目標について、国内総生産(GDP)の目標伸び率を7.5%に設定したことを明らかにした。
また2014年の国防費については、12.2%増という2桁台の高い伸び率で、その額は8082億元余り(約13兆4000億円)とすることを発表した。
これまで中国の国防予算は、1989年以降、25年間という長期にわたって、2010年を除き2桁の伸び率を記録し続けている。
なお、中国国防費は発表された数字の倍以上、中には3〜5倍との見方もあることを付記しておく。
今、世界中のあらゆる国が景気低迷と財政悪化に陥り国防予算の削減を行っている中で、12%強の増加予算を組むと言うことは驚きである。230万近い兵力を保持し、さらに空母や潜水艦、ステルス戦闘機を次々と建造しているわけだから、驚くに当たらないかもしれないが、国家予算が日本とあまり変わらない額であることを考えると、異常な予算額であることには変わりはない。
(中国は地方政府も中央政府も、予算の額は秘密にされているので正確な数値は分からない
。尚日本の防衛費は2002年の約5兆円から年々減少して来ていたが、新年度予算は11%増のおよそ4.7兆円)
一方、先進主要国が何とかプラス台の成長をと願っている中、7.5%という成長目標率も尋常な数値ではない。中国政府としては、他に類を見ない高い経済成長率がこれから先もまだまだ続くことを、世界に自慢したいのだろうが、もともと政府発表の数値より5%近く低い数値が本当の伸び率と言われてきているだけに、これ以下の数値は出すに出せない面もあるのかもしれない。
近年、こうした国防予算や経済成長率を遙かに上回る増加率を上げてきているのが、他ならぬ大気汚染濃度の上昇率である。もはや人の住むところではないとまで言われている国を、2桁増のの国防予算を組んで守ったところでどうなるというのか? 高い成長率を掲げれば掲げるほど、悪質な石炭は燃やされ続け、汚染物質をまき散らす車の数は増える一方となるというのに。
「健康よりカネ、命よりカネ」を信条とする共産主義的拝金主義者たちは、それでいいかもしれないが、微細ながら、ガラスの破片と何ら変わらぬPM2・5なる汚染物質を、いつまでも吸わされ続けている一般庶民はたまったものではない。
世界中が景気低迷に喘ぐ中、我が身安泰を願って7.5%の経済成長率を目標とするようでは、本格的な汚染対策の実行などとうてい無理な話である。煙突からはき出される黒煙は空
を覆い、トラックから排出される有害物質は、ますます地を覆うことになりそうである。
そうなると、これから先に予想される更なる大気汚染は、巨額な軍事費をつぎこんで外部からの敵に備えたところで、国内から発生する一般市民の不満分子たちの暴動で、国家破綻、国家分裂に向かうことになるかもしれない。
その際、ウイグル族やチベット族など少数民族の叛乱が追い打ちをかけることは言うまでもないことだ。
それとも、そうなる前に膨大な資金を投入して作り上げた、軍事力の行使が実行されることになるのだろうか。暴動から内乱への発展、尖閣諸島への魔の手、いずれの道を進むにしろ、隣国・日本にとって苦難と悲劇の大嵐となることはことは確かである。
☆