30日、中国西部の新疆ウイグル自治区の中心都市・ウルムチ駅の出口付近で、政府に反発する者による爆破テロ事件が発生した。刃物を持った男が乗客を切りつけて爆発を起こし、3人が死亡79人が負傷。折しも、習近平主席が同地区を訪れ、警察官を前にして警備を徹底するよう訓示をした日の夜の事件であった。
これまでにもお知らせしてきたように、イスラムを信仰する少数民族ウイグル族が暮らす新疆ウイグル自治区では、宗教や民族問題を廻る中国政府の対応に不満を持つ住民と当局との間にたびたび衝突が起き、2009年には同じウルムチで大規模暴動が発生し200人余が死亡、また昨年6月には東部のトルファン地区でも刃物を持った集団が警察施設を襲い、住民や警官など35人が死亡する事件があったばかりである。
さらに、昨年10月の北京・天安門前の車両突入事件や今年3月の雲南省昆明駅の無差別殺傷事件も、ウイグルの独立を目指す反政府勢力の関与があったとされていた。なんと言っても今回の爆破殺傷事件は周主席が就任後はじめて自治区を訪れ、27日から4日間にわたって市民との交流をはかり、テロ対策の強化、民族間の団結を主席自ら指示した直後だけに、中国政府にとって大きな衝撃となったことは間違いない。
その証拠に、中国の主要テレビ「中国中央テレビ」は日本時間8時現在もなお、このニュースを一切伝えていないばかりか、一部のメディアがインターネット上で掲載した事故現場の写真や記事を次々と削除し続けている。事件がウイグル族によるテロ事件なのか、それとも習近平派に対抗する江沢民一派による事件なのかはっきりしないが、中国政府が大きなショックを受けていることには変わりはない。
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