財政制度等審議会は、政府が2020年度に向かって毎年の財政赤字を15兆円以下に抑えるという今の財政健全化目標を達成できたとしても、2021年以降、それまでに累積した債務残高を減少させるための一段の収支改善策を実行しなければ、現在の国と地方の合計債務残高1374兆円は、46年後の2060年度には今の6倍の8157兆円に膨らむという衝撃的な試算を初めて示した。
私にとって驚きだったのは、8000兆円
を越す驚異的な数値よりも、これだけのニュースを我が国の新聞各紙が大々的に取り上げなかったことの方である。29日の朝日新聞では小さく一段の記事、日経に到ってはまったく掲載されていな
かった。日本のマスコミは一体何を考えているのだろうか。
2020年時点で予想される約1500兆円の債務残高をそれ以上増やさないようにしようとすると、2021年度以降は毎年57兆円(GDPの約9%)歳入を増やすか、歳出を削減しなければならなくなってくる。これが達成出来なければ、債務残高が増える分、利息も増加し、予測される利率の高騰などを合わせると、債務残高はうなぎ登りに巨大化し2060年度末には、8000兆円超に達するというわけだ。
平成26年度の一般会計の歳出と歳入を調べてみると、歳出は95.9兆円、歳入(税収+その他収入)54.6兆円で、
差し引き41.3兆円の財政赤字となっており、その全てを国債発行によって穴埋めしている。因みに41.3兆円の内訳は国債の償還分13.3兆円と支払利息約10兆円、新たな借金としての国債発行分18兆円である。
それにしても平成26年度の国債発行総額の約
25%が利息支払いに充当されていることを考えれば、いかに借金の額が巨大化しているかが分かろうというものである。国民一人当たりの借金額は、1373兆円÷1億2691
万人=1080万円。4人家族だと4320万円と言うことになる。我が国は借金地獄に陥っているのである。
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ところで、2021年度から借金をそれ以上増やさないようにするためには、財出を減らすなり収入を増やすなりして、毎年57兆円の資金を捻出しなければならないことになる
ようである。一口で57兆円と言うが、現在の歳入額が50兆円超であることを考えると、倍増しなければならなくなってくる。そう簡単なことでないことはどなたにもお分かりだろう。
もしも、57兆円の増収分を消費税だけで成し遂げようとしたら、税率30%が必要になってくる。ただし忘れてはならないのは、仮に消費税を30%にして歳入額を110兆円まで増やしたとしても、毎年のやりくりが
追加の借金なしで出来るだけで、残された借金約1500兆円の返済はそのまま残ることになる。
これを我々の家計に置き換えてみると、現在の手取りの年収が500万円のサラリーマンがもしも1100万円の高給取りとなったとしても、1億5000万円の借金を抱えていることになるわけだから、借金の金利が米国債や英国債並みの2.7%近くになったとしたら、毎年金利の支払いだけで400万が必要となり、元金の返済はおぼつかな
い状況が続くことになる。そんな状況下で、もしも金利の高騰や家族のトラブルが発生したら万事休すである。
日本の国家財政が成り立っていくためには、消費税を300%にした上で、年金を20%カット、介護や医療費の自己負担を倍増する! こ
うしたとてつもない難儀に耐えなければ財政再建は無理なのであるが、そんなことに国民が耐えられるだろうか。それより、もしも金利がギリシャやポルトガル並みに上昇したら、もはやそれで一環の終わりである。
2011年から2012年にかけて財政赤字を抱えた債務国の国債金利が高騰した事例を見てみると、次のようになっている。2011年11月に7.26%をつけたイタリア、2011年7月に14.08%をつけたアイルランド、2012年1月に17.39%をつけたポルトガル、2012年3月に37.10%をつけたギリシャ、2012年7月に7.62%をつけたスペイン
政府お抱えの経済学者は消費税率30%などとのんきなことを言っているが、世界の投資家が我が国のGDP比232%近い飛び抜けた財政赤字を材料に、国債の売りを仕掛けてきたら、その時は国家デフォルトを覚悟しておくしかない。
実は今そうした日本国債売りのファンドが立ち上げられているのだ。あとはその流れにいつ拍車がかかるかである。
もしも、米国債を500兆円保有する日本がデフォルトとなれば、当然米国も間違いなく後追いすることになり、その時は世界各国みな道連れだ。地球の次元上昇に先立って、愚かな人間どもが作った貨幣経済の崩壊に進むのも悪くはない
が、大混乱を覚悟しておかねばならないことは確かである。
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