様々な細菌による感染症の治療に欠かせないのが抗生物質である。これまでこの抗生物質によって多くの人々がかっては不治の病と言われていた病魔から救われてきた。しかし抗生物質療法が進むにつれ、抗生物質に抵抗力、つまり耐性を持った「耐性菌」と呼ばれる菌が生まれてきている。(上図参照)
この耐性菌の中で複数の抗生物質が効かなくなったのが「多剤耐性菌」で、ほとんどの抗生物質に耐性を持ったのが「スーパー耐性菌」と呼ばれる恐ろしい耐性菌である。つまり「スーパー耐性菌」
が発病した時には手の施しようがなく、患者は運を天に任せるしかないということになる。
実はこの「スーパー耐性菌」が世界各地で広がり始めており、
すでに114ヶ国から患者の発生が報告されている。それを受けて世界保健機関(WHO)は最近、この問題に関する報告書を発表、街中や病院で感染症を引き起こす危険性に対して早急に対策を立てるよう、世界各国に警鐘を鳴らしている。
こうした現況を「国境なき医師団」のJ・ロナ氏は「まるで第一次世界大戦より前の状況に逆戻りしたようだ」と表現している。「スーパー耐性菌」が世界各地で広がれば、感染した患者は対処法がないまま高死亡率の状態で死を待つのみと言うことになるわけだから、19世紀初頭以前の状態に
戻ったことに間違いはない。
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WHOの報告書の中で特に注意を呼びかけているのが、大腸菌、肺炎かん菌、黄色ブドウ菌、サルモネ菌、赤痢菌、肺炎球菌、淋菌の6種類である。これらの菌の名前は多くの読者が聞いたことのある菌名で
あるに違いない。つまり特殊な菌というわけではないのである。それだけに、これらの菌がスーパー耐性菌になった時には、大変なことである。中でも大腸菌と肺炎かん菌は多くの人が体内に保持している極めてポピュラーな菌だけに危険度は高い。
このうち「多剤耐性菌」の肺炎かん菌は2001年に米国ノースカロライナ州で初めて発見されて以来、急速に拡大して2014年にはほぼ米国全土に広がっている。世界的な広がり状況は上の図のように、2011年の時点で、すでに米国、英国、欧州、インド、中国、韓国、南米各国などに拡大しており、我が国もその中の一国となっている。
さらに最近は、最後の切り札と言われている抗生物質「カルバペネム」が効かないスーパー耐性菌も発生して来ているようなので、来年の今頃
は、世界は戦々恐々の状態に見舞われているかもしれない。これと言った対処法はないようなので、外出した
時にはこまめに手を洗い、海外への渡航は出来るだけ避け、海外に出掛けた際には火を十分に通した食事を心がけること、さらには抗生物質の使用を必要最小限にとどめるなどの点に留意するしかない。
新星地球に向けてカルマの刈り取りが自然災害、経済の混乱、社会動乱などの分野で始まってきていることはご承知の通りであるが、対処療法を持たない耐性菌の蔓延もまたその一つとして、これから先
、人類の前に立ちふさがりそうである。人類が長きにわたって積み重ねてきたカルマを刈り取るには、そのどれも避けては通れないようなので、覚悟を決めておくしかなさそうである。
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米国は一足先に、見えない敵に襲われ始めている
スーパー耐性菌の代表的な存在がMERS(コロナウイルス菌)である。実は米国で
は海外からの帰国者の中から、今月に入ってMERSへの感染者が2名
見つかっており、現在入院中であるが、この患者と接触したと思われる20州にまたがる500人の追跡調査を行っている最中である。
数日前のニュースを見ると、既に一人の感染者が見つかったようであるが、幸いにもこの患者の血液中からMERS(コロナウイルス菌)は発見されたものの、今のところ発病の症状は出ていないようである。米国のCDC(疾病対策センター)は長い間、患者と一緒に過ごしただけでなく、咳によっても感染する可能性が大きいだけに、疾病の拡大には十分警戒するよう注意を呼びかけている。
このCDCは治療法もワクチンもないので、一旦感染したらスーパー耐性菌の患者と同様、酸素吸入や解熱剤を投与されて発生している症状を和らげ、あとは運を天に任せるしかない。しかし、死亡率が60〜80%と高いようなので、万が一新たに発病した感染者が見つかるようだと、パニックが発生することになるかもしれない。既に米国では、見えない敵との戦いが始まっているのである。
エイズや各種のインフルエンザは人口削減を狙った「闇の勢力」の陰謀だと以前から言われてきている。アフリカなどの国々に菌をばらまいているのが米国内に存在する一部の勢力だとしたら、これから先、米国は自然災害の猛威に苦しめられるだけでなく、巡り廻って戻ってきた耐性菌の蔓延に遭遇することになるかもしれない。
今は米国だけに限らず全ての国家や個人、民族において、過去における善悪の業に応じて、幸・不幸の果報が生じる「因果応報」の時であるからだ。
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