先日来、噂されていた上海市にある中国の太陽光パネル大手「上海超日太陽能科技」が7日、社債の債務不履行に陥った。利払いできなかったのは、2012年に発行した5年物社債で発行額は10億元(約170億円)で、利息の8980万元(16億円)のうち、400万元(6800万円)しか調達できなかった。
今回の債務不履行は発行金額、利息共にそれほど大きな額ではないが、問題は中国の公募社債市場での利払いの不履行は初めてだという点である。これまで中国の金融市場ではこうした債務不履行が発生した場合、政府や政府系企業が救済に乗り出すのが常であったのだ。
先月には、中誠信託から高金利の融資を受けていた30億元(510億円)の返済をに窮した石炭会社が、地元政府の支援で救済され、規制の緩いシャドーバンキング(影の銀行)部門で初の大型デフォルトを免れたことは、先に「危うくなって来た中国」でお知らせした通りである。
もはや中国では、成長減速に伴って業績悪化企業が急増していることは間違いなく、救済に必要な資金が銀行や政府の負担能力を上回る恐れがあることから、これから先、市場では「今年上期に債務不履行が起きる可能性が大きいのではないか」との見方が広がっている。
今回の太陽光パネル会社の債務不履行はその先駆けとなるもので、政府や地方政府がいつまでも救済を続けることが不可能になってきたことを示している。それはまた、これから先300兆円とも500兆円とも言われる高金利の理財商品の不履行が、シャドウバンキングで発生する先駆けとも言えそうである。
先ずは、3月11日満期日を迎える吉林信託の理財商品の債務不履行の行方を、見ることになりそうだ。北京では折しも全人代が開催中であるので、おそらく政府からの支援によって、今回のデフォルトは救済されることになるものと思われるが、夏場から秋にかけて、どうやらシャドウバンキングの債務不履行問題は避けて通れそうもなさそうである。その時こそ、世界経済破綻の始まりである。