今から23年前の1991年に起きた湾岸戦争。すでに人々の記憶から薄らぎ始めているこの戦争こそが、米国が中東諸国に宗派間対立をもたらした導火線となったのだ。当時の駐イラク大使を通じてフセイン大統領に隣国クエートへの侵攻をそそのかし、いざ戦闘が始まると一転してイラク叩きに転じて、大規模な湾岸戦争を始めるところとなった。
その後、2001年9月11日の同時多発テロを契機に、10月にはテロの報復としてアフガニスタンを攻撃、アフガン戦争の始まりである。次に米国が狙ったのが中東の中央に位置するイラク。フセイン政権が大量破壊兵器を保持しているとして、ブッシュ大統領はイラクを「悪の枢軸国」と呼び、イギリスと共に首都バグダッドへの空爆を開始したのが2003年。
その後の国連調査機関による査察の結果、米国がイラク攻撃の大義名分とした「核兵器」も「化学兵器」も「生物兵器」も一切発見されず、全て
開戦の大義名分を作るための「えせ事」であったことが判明したことは、既に読者もご承知の通りである。
湾岸戦争後に、石油掘削施設から流出した石油が海鳥たちを取り囲む悲惨な姿など、米国のメディアが世界に向け放映した戦争行為を肯定するため映像は、その後、全て情報操作のために米国の情報機関が流したものであることが判明。イラク戦争終結後に歓喜する市民によって、バグダッドのフセイン大統領の銅像が倒された映像もまた、やらせ映像であったことが明らかとなっている。
こうした実体を知る知らずは別にして、米国国民は政府と一体となって大義名分のない戦争に引きずり込まれていったのであるが、その裏に蠢(うごめ)いていたのが「闇の勢力」による陰謀。
それは、中東における支配権の確立であり、武器商人たちの在庫一掃セールであった。イラク戦争だけでも200兆円を越す戦費を要したというから、武器証人たちはさぞかし私腹を肥やしたことだろう。
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こうした偽りの世界平和を旗印にした一連の戦争によって生み出されたのは、イラクやアフガニスタンだけでなく中東全体に広がった「無差別テロ」と「宗派対立」であった。イラクでもアフガンでも新たな国作りは一向に進まないばかりか、情勢が悪化の一途をたどっていることは、一昨日「再び始まったイラクの戦闘」でお知らせした通りである。
4400人を越す戦死者、200兆円を超す膨大な戦費、駐留兵士の精神的後遺症発生問題 ・・・・・・、こうした多大な犠牲を払ったあの一連の戦争は、米国にとって一体何だったのか? 今、イラクで新たに始まった国を2分、3分にする可能性の高い大規模な戦闘行為を見せられている多くの米国民は、さぞかし強い失望感に襲われていることだろう。
しかし、中東において米国が為してきた一連の戦闘行為は、「失望感」や「戦争疲れ」の一言で済まされるものではない。その間に命を失い、家族を失い、住まいを追われて流浪の民となった人々の数が数百万人規模に達していることを考えたら、
カルマの大きさが分かるはずだ。
これだけの数の人々の苦しみ、悲しみ、絶望感の思いは、今、巨大なカルマの流れとなって米国に押し寄せてきている。原爆投下で犠牲となった
20万人の無念さや、ベトナム戦争以来、米国の軍事介入によって犠牲となった多くの一般市民の思いもまた、その流れに合流していることだろう。
今、カルマの刈り取りが始まった
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どの国も、どの民族もみなそれぞれ過去のカルマを背負っていることに変わりはない。我が国とてそれは同じである。しかし、世界大戦以来、米国が世界各地にまき散らしてきたカルマの大きさは、他国のそれとは桁違いである。並ぶ国は世界広しと言え、中国以外にはない。
これから先、世界各地において、地球の浄化のための自然災害や貨幣経済の一掃のための経済的混乱、弱者と強者による国民同士の骨肉の争乱が、これから先
、さらに度合いを増してくることは間違いない。その災害や混乱、争乱の状況が他に類のないほどに「悲惨」で「残虐」なものとなるのが、他ならぬ米国と中国である。
次元上昇が起きようとしている今、3次元世界で蒔(ま)いたカルマは各個人だけでなく、国も民族もみな刈り取って旅立たねばならないからである。その刈り取る様がどのようになるのか、我々はこれから先その地獄絵を好むと好まざるに関係なく、日々目にしていくことになりそうである。
それにしても、「国際協調主義に基づき、軍事介入はしない」というオバマ大統領の発言には驚かされる。それは、イラク戦争を前にして、各国が主張した国連主導の国際協調主義
そのもので、それを無視し、戦争へと突入したのがあの馬鹿ブッシュであったからである。
オバマ発言は、今の米国がいかに財政面や戦争疲れで窮地に陥っているかだけでなく、米国の未来に立ちこめる暗雲の大きさを物語っているようである。
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