温暖化を主張する科学者が氷に閉じ込められた
昨年12月下旬から南極海で厚い氷に阻まれ立ち往生しているロシアの砕氷船「アカデミック・ショカルスキー」号、それを1月に入って救出しようとしたのが中国の砕氷船「雪龍」号。ロシア船の乗客の「雪龍」号への輸送には成功したものの、同船もまたその直後に氷に包囲されて動けなくなってなってしまった。
その後、乗客52人は、流氷の外側に待機していたオーストラリアの船にヘリコプターで救出されたが、このままでは、ロシア、中国の2隻の船は氷海から脱出できないため、急遽、シドニー港に停泊していた米国の砕氷船ポーラースター号が救出に向かうことになった。
皮肉なのは、ロシアの船に乗っていた乗客の中の多くは地球温暖化を強く主張する科学者たちで、南極海の氷床が温暖化によって融解が進んでいることを、確認するために現地入りしていた人達であったことだ。
私はHPで温暖化傾向にあった南極海は再び寒冷化に向かって進んでいることを、これまでに何度も記してきたが、皮肉なことに今回のロシア、中国の2隻の砕氷船の立ち往生は、それが間違
がっていなかったことを示すところと相成った。
つまり、地球温暖化説を説き続けてきた科学者たちは厚い氷に取り囲まれ、その説に逆行するような南極の寒冷化状況の目撃者となってしまったというわけである。
因みに、私が北極点に立った時に乗船したヤマル号は原子力砕氷船で、砕氷能力は5メートルと強力であったので安心だったが、南極を訪れた際に乗ったアカデミック・イヨッフェ号は、耐氷船であったので砕氷能力は弱く、今回のように流氷によって厚い氷に囲まれてしまうと、脱出は無理であったに違いない。今年2月に予定していた南極行きは、どうやら止めておいた方が良さそうである。
もはや地球の気温は、一方的な温暖化現象では説明が出来ない状況になってきており、温暖化と寒冷化の両局面が錯綜し、極端な猛暑と厳寒が繰り返されることになりそうである。その結果は、先月「凍てつき始めた地球」に記したように、猛暑と乾燥化に
よって
「干ばつ」
と大規模な「森林火災」が発生する一方で、かって経験したことのないような「遅い春」と「早霜」が到来し、時季外れの寒さと大雪で農作物が減収することになってくるのである。
暑さと寒さの両極化 (Super extreme )現象の一例が、 年末から年始にかけて北米と欧州北部で発生している。
米国・中西部から北東部を襲っている異常寒波と強力な暴風雪については、前回
「年始め・米国を襲う異常寒波」に記した通りで、これから水曜日にかけて更なる寒波と大雪がシカゴやニューヨークなど大都市を襲い、地方によっては体感温度が生死に関わるほどまで下がるところもあるようである。
一方、欧州北部では先月から異常な程に暖かい日が続いている。それはヨーロッパ大陸の北に非常に発達した低気圧が居座っており、そこに向けて南から暖かい空気が流れ込んでいるためである。そのため、ドイツのベルリンでは暖冬で平年の最高気温が3度ぐらいであるのに、今年は10度前後の春先の気温が続いている。
この温暖化を受けて、ベルリンでは東西統一を祝って日本から送られた桜が満開となっている。例年では、東北地方並みに4月中旬に咲き始める桜が、1月初旬に満開状態となっているというのだから驚きである。ほぼ同じ緯度にあって北極海からの寒気が押し寄せる北欧と北米でありながら、それが一方では桜の開花だというのに、他方では、凍死者の発生となっているのだから、なんともはや恐れ入ったというところである。