7日、南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)付近で、中国の船舶がベトナムの海上警察の船に対し、衝突や放水を繰り返すという事件が発生した。これにより数人の負傷者が出たベトナムは、海上警察と海軍合わせて29隻の艦船を現場海域に派遣し、現在、双方のにらみ合いという一触即発の状況が続いている。
西沙諸島における領有権問題はかねてからベトナムと中国の間で領有権争いが続いていたが、今回はベトナム沿岸から220キロメートルほどしか離れていない海域で、中国最大の海洋石油会社が掘削装置を搬入し、本格的な作業に入ろうとしたことから、ベトナムの海上警察の船が出港し退去を求めたところ、80隻を超す中国の船舶から衝突や放水を受けたため、海軍の出動となったものである。
先日、同じ南シナ海の南沙諸島の半月礁付近では、フィリピンの海洋警察が絶滅危惧種であるウミガメ350匹を捕獲していた中国の漁船をだ捕し、船長ら11人を逮捕したばかりである。
中国とベトナム、両国の経済力や軍事力を比べたら、それは比較にならならない。GDPで8兆2000億ドルの中国に対しベトナムは1400億ドルと、桁は三桁も違うのだ。また軍事力においても、空母を実戦配備しつつある中国を相手に太刀打ちできるベトナムではない。事情はフィリピンとて同様である。軍事力の差は50倍ほどもあるのだ。
ベトナムやフィリピンに残された戦略は、米国や日本と連携を強化し、ASEAN(東南アジア諸国連合)などを通じて、中国の身勝手で違法な振る舞いを国際社会に訴えていくしか手はない。今回の一連の争いが11日にヤンマーで開かれるASEAN首脳会議で主要議題として取り上げられることは間違いないが、弱小国がどのように力を合わせて強国・中国に立ち向かうことになるのか、世界の注目が集まっている。
どうやら、中国共産党のおぞましい「素」の姿が次第に露わになり始めたようである。
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