この夏にロシア・シベリア地方で発生した野火は拡大し、7マイル地域(約27キロ平方)を焼け尽くすひどい状況になっている
ようである。
2010年、2011年の夏に発生したロシアの中部、西部一帯の森林火災については、「荒れ狂う世界の天気
1」、「再び始まったロシアの森林火災」で記したので、読者は当時首相であったプーチン氏が陣頭指揮をとって鎮火に努めたことを、記憶しておられることと思うが、どうやら同じ森林火災が今年はさらに緯度を上げてシベリア地方で発生しているようである。
我々はシベリアと言えば極寒の地、かっては日本の兵士も収監され過酷な重労働に就かされた身の凍る地と考えがちである。ところが、それは昔のこと、彼の地は今や温暖化の影響を低緯度地域に比べて2倍も受け、夏期にはなんと東京並に温度が上がり乾燥化する状況になって来ているようである。
北極海の氷が融解し始めたため、急遽、ロシアの観測隊が引き上げざるをえなくなったのもそれゆえである。
そのため、いったん草木に火がつくと燃え広がり、場所が場所だけにロシア政府も手の打ちようがないらしく、自然消火を待っている状況にあるようだ。2010年、2011年の森林火災は泥炭層の発火が原因であったが、
シベリア地方のこの夏の気温が32度だというから、今回の火災も同様な原因によるものかもしれない。
それにしても、真夏といえども15度を超すことのなかったシベリア地方が、32度と言うのだから、驚かされる。掲載した極寒の地で燃え広がる野火の写真を見てもらえれば、「100年ぶり」「記録的な」「かって経験したことのない」と言った見出しで報道されている最近の異常気象の中でも、ひときわ衝撃的な光景であることが分かるはずだ。
もはや最近の気象は「異常気象」と言うよりは「狂気的な気象」「異常気温」と言うより「狂気的な高温」と呼んだほうが的を得ているように感じられる。下段に掲載した、猛暑で道路が高温化し燃え上がる車両と、川に食卓を持ち込んで食事する中国の珍風景も、同様な写真の1枚である。
「Faun kime」というブログには、最近のシベリア地方の異常気象と6月に発生した森林火災について次のような記事が掲載されていたので、参考にして頂きたい。
シベリアは凍りついた風景と、貧しい身なりの囚人たちが凍りつかないまでも、死ぬまで働かされた過酷な強制労働収容所を彷彿させるイメージでいっぱいだ。確かに、ここは厳しい亜北極の天候条件、そして野火が起こりうる最後の場所として知られている。
だがもはや、そうではない。シベリアの「夏」の気温が通常華氏60度(摂氏15度)であるのに、この夏はそれが華氏90度(摂氏32度)にまで急上昇している。アラスカからシベリアまでの亜北極地帯は急増するひどい野火の季節と化してきている。
アラスカの北方にある森でも、こうした野火の活動は“過去1万年のどの時期よりも高い”ことが、ディスカバー・マガジンにトム・ユルスマンが書いた一文によってわかる。現在、シベリアでは煙が推定4万平方マイルの地域を覆っており、政府関係者の報告によると、少なくとも森林の7マイル地域(約27キロ平方)は現在燃えているとのことだ。
原典:ディスカバー・マガジン、ウェザー・アンダーグラウンド(寺石容一氏訳)
Siberia
sparks the imagination with images of frozen landscapes and an
archipelago of cruel Gulags where poorly clothed prisoners are
worked to death, if they don’t freeze first.
Indeed, it
is a region known for its harsh, sub-arctic weather conditions- and
one of the last places you’d expect to find a heat wave.
Not anymore. While a Siberian
“summer” usually consists of temperature in the high 60s
(Fahrenheit), this summer it’s leapt to 90 degrees.
Sub-arctic
regions from Alaska to Siberia are also experiencing increasingly
horrible wildfire seasons. In Alaska’s boreal forest, fire activity
is “higher than any other time in 10,000 years” as Tom Yulsman
writes in Discover Magazine.
Right now
in Siberea, smoke covers an estimated 40,000 square miles and
government officials report that at least 7 miles of forest are
currently ablaze.
Sources:
Discover Magazine,
Weather Underground.