心配された台風24号。現在日本海を進行中で東北地方を横断し、間もなく温帯低気圧に変わろうとしている。今回の台風は風力の強いのが特徴的で、中心風速は50キロメートルを超すのではないかと言われていただけに、風による大きな被害が
出るのではないかと心配であった。
しかし、これまでのところ宮古島など南西諸島の一部を除くと、たいした被害は発生しておらず、心配はほぼ杞憂に終わりそうで、なによりである。
23号に続く24号の接近で心配された南西諸島、特に24号が通過した沖縄本島は心配であった。台風の中心圏内に入った7日の夜、沖縄講演会のスタッフの皆さんの様子が心配になり、電話をしたところ、那覇市では風も弱く、雨もほとんど降っていないとのことで、拍子抜けであった。
むしろ沖縄本島はこの夏、雨量が少なかった分、恵みの雨になりそうです、と語っておられたのには驚かされた。どうやら23号台風は
沖縄の住民にとって「災い」ならぬ「幸い」をもたらす、、恵みの台風となったようである。それはともかく、このまま、一人の死者も出ず、ケガ人が数人出た程度で終わるようなら有り難い限りである。
一方、23号が直撃した中国では、大きな被害が発生している。雨台風の23号による被害は甚大で、福建省や浙江省、上海市を中心に洪水による被災者の数は450万に達し、今も50万人が避難した状況が続いており、死者・行方不明者の数も10名を超している。
浙江省温州市だけでも、家屋1700棟以上が損壊し、農地4万6800ヘクタールが被害を受けており、新華社通信によると、被害総額は2000億円に達する
模様である。
この夏、中国や台湾を襲った台風や豪雨による大きな被害は、この他にも数多く発生している。7月には中国西南部の広範囲で豪雨に見舞われ、2008年に大地震が発生し今もなお復旧作業が続く四川省では、死者・行方不明者が300名近くに達している。50年来の豪雨による洪水で水深が7メートルに達し、5階建てのビルが次々と崩壊していく場面をユーチューブで見ると、先の京都・桂川の氾濫とはその規模が一桁違うことを実感する。
先月半ばから続いた大雨で大洪水が発生し、国の3分の1の地域に被害が及び、死者の数も30名を超したタイや、今月7日のモンスーンによる洪水で3000世帯が避難する被害が発生したフィリッピンのミンダナオ島。これらの被害状況はどれもみな、我が国の台風や洪水被害を遙かに上回っている。
それにしても、こうした近隣諸国の甚大な被害状況を見てみると、我が国はこの種の災害からは守られていると、つくづく感じる今日この頃である。神戸・淡路大震災や東日本大震災といった大きな被害には遭遇はしてはいるが、この種の人工的な災害を除くと、死者が何十人、何百人といった自然災害から免れていることに感謝しなければ、ばちが当たりそうである。
心配なのは、我が国では大型災害の発生が少ない分、地球がウォータークロックの時代に入って来ていることに気づかずにいる人々が多いという点である。災害は他人事、他国の事と考え、我々
が今、地球的規模での大異変、大禊ぎの真っ最中にいることに気づかずにいることは、本当に困ったことである。