5メートルを超す高潮と風速105メートルの暴風雨で、内陸部まで打ち上げられた貨物船や漁船、海の中には横倒しになったバスやトラック。そうした情景はまさに東北大震災後の福島海岸の再現だ。ビルの中にいた人が「震度3〜4」程度の揺れを感じたというから、100メートルを超す風速の強さがどれほどのものであるかが想像できる。
悲劇は、被災地は小さな島に分かれているため、救助隊や支援物資を送れない状況にあることだ。雨風をよける家もなければ、食べ物も水もない。そのため、各地で略奪行為が発生し、治安状況が悪化しているようである。食料や水が届くまで、今しばらく被災者の地獄の苦しみが続く。
追い打ちをかけるように、次なる台風31号が接近して来ており、今夜半から明日にかけて上陸が予想されている。まさに「泣き面にハチ」であるが、先の地震の被害者にとっては、2匹目のクマンバチである。
丸裸で避難先も無い被災者の皆さんにはなんともお気の毒であるが、今の我々には祈るしか手がない。これだけの災害を目の辺りにしても、多くの日本人は対岸の火事としか感じていないようであるが、「ウォータークロック」がいよいよ牙をむき始めたことに、一日も早く気づいて欲しいものである。