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中国の赤の広場、天安門広場で突入した車が炎上、5名の死者と40人を超す負傷者が出たのは、先月の28日。共産党指導部が、数年に一度の三中全会を前にして事態を沈静化させようとしている最中の6日早朝、再び内陸部・山西省の省都・太原市で複数の爆発が起き、1人が死亡、8人が負傷する事件が発生した。
大きな爆発音が7回以上にわたって聞こえ20台以上の車が損壊、小型のトラックやたくさんの鉄球(ベアリング)、鉄釘が空中を飛び散るのが目撃されている。どうやら前回の天安門広場と同様、中国共産党政権に対し強い不満を持つ人間による爆弾テロ事件ではないかと思われる。
山西省は中国の経済成長を支える石炭の有数の生産地として、国有企業の他、中小の生産業者が乱立してきた。その陰で、安全性を無視した不法操業による炭鉱事故で死傷者が多発したり、誘拐されてきた知的障害者らが奴隷のように酷使されたり、また、インフラ整備などで強制立ち退きを迫られた住民も少なくないエリアである。
それだけに、共産党委員会のビルには多くの市民が陳情に訪れたはずである。その中には苦情や陳情を一切聞き入れてもらえずに、むなしさと苛立ちを募らせた人々もいたに違いない。そうした弱者たちが天安門広場の抗議行動などを耳にしたとき、昔年(せきねん)の恨みを共産党や政府に対して晴らそうと、爆破テロ的行動に出ることは、大いに考えられることである。
今回の爆破事件が周近平共産党政権にとって重要な意味を持っているのは、次の3点から間違いない。
@ 28日に発生した天安門広場での車炎上事件の直後であること。
A 事故の現場が、中国共産党の山西省委員会の党施設の前であったこと。
B 9日から始まる三中全会(中央委員会全体会議)という習近平政権にとって重要な会議の
直前であったこと。
これまでにもお知らせしてきているように、腐敗した中央・地方政府役人や共産党政権に対する「切り捨てられた」弱者たちの怒りや憎しみの気持ちは、日に日に巨大化してい来ている。それがいかなる形で表面化、集団化してきているかについては、後日、改めて記すことにするが、これから先もこうした爆破テロ的事件が連鎖的に発生し、それが暴動や内戦へ向けての狼煙(のろし)となる可能性は大である。
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