死者150以上を出した大型地震に見舞われたばかりのフィリピンを、今度は超弩級の台風が襲おうとしている。
現在、台風30号「ハヤン」が勢力を増しつつフィリッピンに迫っており、今夜には上陸しそうである。その勢力は今年発生した世界中の台風の中でも最大規模で、中心気圧が895ヘクトパスカル、最大瞬間風速は90m/s。我が国で観測した中心気圧の最も低いものは、沖永良部島で観測された907.3ヘクトパスカルだというから、台風ハヤンがいかに気圧が低く勢力が強いかが分かる。
さらに勢力を増して上陸するようなことになれば、その被害は甚大となり、多くの死傷者が出るのではないかと心配だ。最大風速が90メートルともなれば、電柱や木々が倒れる程度では済まない。ましてや上陸が予想されているサマル島やレイテ島の建物は下の写真を見てもらえればお分かりのように、台風に備えるにはあまりに粗末な作りである。これでは、家ごと吹き飛ばされて跡形もなくなってしまう可能性が大きい。
それ故、大統領が避難を呼びかけているが、避難会場は立錐の余地もなく立ったまま食事を取らざるを得ないほどの混雑状況である。それでもまだ避難出来る人々は幸せである。先月マグニチュード7.1の地震で住む家を失ったセブ島やボホール島の人々はテント暮らしを続けており、避難する場所さえない有様だ。
こうした状況を見ると、26号台風で大きな被害に遭われた伊豆大島の村民の皆さんも、27号、28号台風に際しては、ゆったりとした施設に避難することが出来ただけ幸せである、といえるかもしれない。今はただフィリピンを始め、マニラやバンコクなど上陸が予想されている国々の被害が少なくて済むことを願うのみだ。
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