9月に入っても関東地方は依然として35度を超す猛暑日が続いている。そうした異常高温の中、昨日、埼玉県の越谷市と千葉県の野田市は突然の竜巻に襲われて、各地で600棟を超す住宅や学校の校舎などが破壊され、電柱がなぎ倒されるなど大きな被害が発生した。はがれた屋根の姿や飛び散った窓ガラス、亙の破片を見るとその凄さが実感される。
昨年のつくば市に次ぐ竜巻災害である。かっては日本では竜巻の被害など聞いたこともなかったが、ここ数年、次第のその数を増すだけでなく被害の規模も巨大化し始めて来ている。この日は、竜巻だけでなく、
西日本各地で大雨や落雷による被害が発生している。もはや気候が完全に狂ってきていることは誰の目にも明らかだ。
この夏は四国の四万十市で41度という史上最高気温を更新する一方、東北地方や西日本を中心に各地で集中豪雨による洪水や土砂崩れが発生。一方、目を世界に転じるとその規模はさらに大きく、被害額も何百億、何千億に達するところとなっている。
お隣り中国では、上海など東部地方で7月から記録的な暑さが続き、上海から南に150キロほど離れた杭州では連日40度を越えて名産の茶葉は大打撃を受け、地下鉄の駅構内には、猛暑から逃れて涼を取る納涼族が出現
した。
ロシアと中国の国境沿いを流れるアムール川は5月から断続的に降った大雨の影響で、アムール州とハバロフスク州になまたがる広大なエリアが水につかって、7000棟が浸水、3万人近い人々が避難している。農地8万ヘクタールも水浸しとなっており、
一連の被害総額は1000億円を超しそうだと伝えられ、プーチン首相もヘリコプターで被災地を視察する事態となっている。
また、アムール川南側の中国黒竜江省でも被害は深刻で、新華社通信によると、同州だけで2万平方キロ以上に被害が広がっており、500万人に影響が出ている。
被害域の広さを考えると、農作物の被害も甚大になりそうである。
一方、米国カリフォルニア州のヨセミテ国立公園の森林火災は18日目に入った今もなお燃え広がり、消失面積は既に9万ヘクタールを超えており
東京都の半分に達している。どうにか40%まで消火してきているようだが、完全消火の目処が立たない状況が続いており、乾燥した状態はこれから先も続きそうなので、さらなる被害の拡大
が懸念されている。
世界中が猛暑というわけではない。南半球のペルーやブラジル、アルゼンチンでは異常な寒波に襲われている。冬の終わりに入ったペルーのアンデス山地では、マイナス15度という異常な寒波に襲われ、寒さに強いアルパカが24万頭も死んでしまう事態となっている。
こうした異常気象による記録的な大災害は、偏西風の流れが波打つようになって来ているのと、海水温の上昇が原因のようだが、
そうした状況を引き起こしているのが温暖化による気温の上昇である。下図を見てもらえれば分かるように、1950年代から始まった地球温暖化は90年代に入ると一気に勢いを増し、特に北極・南極地方は低緯度地方に比べて2倍の早さで進んでいる。
そのため北極や南極の氷が解けて光を反射し、海水温の上昇を遮るエリアが
減少。その結果、さらに氷解のスピードが早まる。こうした負の連鎖反応で北極や南極の氷床が凄い勢いで解け出していることは、何度もHPに記載しているので読者はご承知のはずだ。
こうした流れは今年より来年、来年より再来年と放物線を描いて増してくることになるだけに、これから先の異常気象とそれに伴う異常災害はさらに拡大してくることは間違いない。恵まれた環境に住む我々日本人も明日は我が身であることを忘れないことである。もはや地球は生まれ
変わって「源に帰る」タイミングに入ったのだ。