中国のシャドウバンキングの実体


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不動産バブルの発生源

 


 
 

第一生命経済研究所の資料
 

 

世界経済の崩壊の引き金となるのは南欧を中心としたユーロ圏諸国のデフォルトか、それとも3000兆円を上回るとも言われている巨額の負債を抱えた米国の財政危機か、はたまたアベノミクス後の日本の国債の暴落か 。どれもが皆ごまかしの延命工作によって引き延ばしされているだけに、どれが牽引役となってもおかしくないのが実体である。

更にここに来て新たに崩壊の引き金として浮上してきたのが、強大な不動産バブルを抱えた中国経済の崩壊である。中国の不動産バブルがいつ はじけてもおかしくないことは、周知の事実であるが、問題は不良債権となって焦げ付く債権の額が、一体どれほどの大きさになっているかという点である。その規模が巨大であればあるほど中国経済の破綻は 大規模となり、中国発の世界金融危機発生の可能性は大きくなってくる。

昨日のBS・NHKの「ワールドWaveモーニング」見ると、どうやら不動産バブルの大きさはとてつもなく巨大となっているようだ。その巨大なバブルを産み出してきたのが、最近話題になっている「シャドウバンキング(陰の銀行)」の存在である。

「シャドウバンキング」とは何か? 一般的には「銀行を通さない金融取引」を指す言葉として受け止められているが、その実体は、高金利商品を販売して集めた資金を、銀行とは異なる投資会社を通して不動産投資する資金運用である。言うならば、リーマンショックを引き起こした あの「サブプライムローン」の中国版である。

2008年のリーマンショックで崩壊した経済を再建しようと、各国政府が財政投資に巨費を投じたことは記憶に新しいところである。その中で中国政府は4兆元(64兆円)の景気浮揚策を行うこととなった。しかし、中央政府が投じた資金はわずか2000億元(3兆2000億円)、後の3.8兆元(64兆8000億円)は国有企業や地方政府が自分たちで資金調達を図って景気浮揚策を実効せよと言うことになった。

そのため、国有企業や地方政府は大銀行から融資を受けることになったが、地方政府は直接銀行からお金を借り受けることが出来ないため、投資会社を経由して調達することになった のだ。その結果、2010年末にはその資金は政府が計画した景気浮揚資金4兆元を遙かに超えた10.7兆元(170兆円)までにふくれあがり、その巨額な資金が不動産開発や公共事業資金として 市場に投入されるところとなった、というわけである。

その結果、各国がリーマンショックから立ち上がるのに四苦八苦しているのを尻目に、中国経済はV字型に回復しGDPの伸び率が12%となって世界経済の牽引国となったのである。それは 一方で中国の不動産バブルを巨大化させ、北京や香港の都市部のマンション価格を急上昇させ、地方都市では、人の住まない巨大な幽霊公団住宅が あちこちに出現するところとなった、というわけである。今から3年半前に書いた「資産バブルという蜃気楼」を読んで頂ければその実体が分かるはずだ。

ところがである、最近になって国有企業や地方政府が集めて投資した資金の総額は10.5兆元どころか、なんと30兆元(480兆円)を超えていること が明らかとなったのでる。この金額は中国GDPの55%に当たり、日本の国家収入の10年分という、とてつもない金額である。これだけの資金が不動産関連に投資されたら、巨大バブルが発生して当然である。
 

 

 
     


なにゆえこんな膨大な資金が集まったのかというと、そこにシャドウバンキングなる存在が浮かび上がってくるのだ。地方政府の役人達にとって大量のカネの流れは得るところが多く、また中小の地方銀行にとっても不動産開発や公共事業への融資はうまみのある商売であった。高金利で融資が出来るし、地方政府の保障が得られるからである。そのため大量の資金集めのため、 新たな投資信託会社なるあやふやな銀行もどきの会社を設立して、一般の民間投資家たちに理財商品という高利回り商品を販売してきたのである。

この理財商品の販売については、これまで中央政府への届け出が義務付けられていなかったため、中国政府の財務省もその商品の販売額がどのくらいの額に達しているのか十分に把握できていなかった。従って、先頃判明した30兆元(480兆円)なる景気浮揚資金の数値も正確なものではなく、更に大きなものになっている のではないかと言われている。

これがシャドウバンキングの実体であるが、ここに来てインフレを恐れた中央政府が市場金利を引き上げ出したことから、短期金利が急上昇して銀行間同士の融資がストップし、地方銀行の倒産が噂され始めて来た。これが先月、中国株が急落し世界の株式市場に動揺を与えた要因であ った。

驚いた中国政府は急遽、金利低下策を取ったので一旦は株式市場の混乱は収まったものの、このまま金利低下を続けるようなら再びハイパーインフレと不動産バブルが発生しかねないため、どこかで金利高政策に転換せざるを得ないはずである。

その時は35〜40兆元(560〜640兆円)とも噂されている想像を絶する超巨大バブルの崩壊が始まる時となり、世界経済崩壊の引き金 を引く時となりそうである。 国家予算も国内総生産(GDP)も我が国とさして変わらない中国で、500兆円を超す不動産投資の破綻によって生じる不良債権額を考えると、空恐ろしくなってくる。

世界の金融危機の火付け国となるのはEUか米国か日本か、はたまた中国か? いずれにしろ、世界の経済は秋口から年末に向かって、修羅場を迎えそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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