日本のマスコミでも伝えられている中国・天安門広場への車の突入事件。事故現場にいた40代の人物は「突入してきた車の車内には黒い旗を振る人物がいた」「運転手はハンドルを切り、故意に歩道に乗り上げてきた」と語っていることを考えると、単なる車の事故ではなさそうだ。
今年の6月、福建省アモイ市で起きた路線バス放火事件や7月の北京の首都空港で車いすに乗った男の手製爆弾による爆発事故もみな共産党政権に対する強い不満と憤りがなさしめたものであることを考えれば、今回の車突入・延焼事故も同様な事故であると考えて間違いなさそうである。
車が小型の軽自動車であることや、車内で振っていた旗には少数民族の使っている文字が書かれていたようだという目撃者の証言がそれを裏付けている。車に乗っていた複数の人物が死亡しているようなので、悲惨な自爆テロ事故となってくる。
これまでにもHPで何度も伝えているように、今、中国には多くの人々の不満や怒りが集積し、いつ大爆発を起こしてもおかしくない状況にある。民族的差別を受けているチベット族やウイグル族、経済成長の恩恵に取り残され農村族を中心とする貧困層。彼らによる暴動はこの1年間に10万件を超している。
問題は今回の事件が、中国のシンボル的場所である天安門広場で発生したことである。そこが24年前、歴史に残る中華人民軍による武力弾圧事件の地で、反政府運動者たちにとっていわば聖地であることを考えると、今回の事件は、遠からずして発生すると思われる大暴動の発端となる可能性を否定出来そうにない。
習近平指導部はさぞかしあわてていることだろう。なぜなら11月には中全会=中央委員会全体会議が開かれるため、この時期の騒動は彼ら共産党幹部にとって一番恐れていることであるからだ。昨夜の定時ニュースが事故についてまったく触れていない点や、ブログやフェースブックなどの事故現場の様子を伝える映像が次々と削除されていることがそれを物語っている。
どうやら、今回の事故に対する中国政府の対応からは目を離せなくなってきそうだ。