シリアの内戦が飛び火したレバノンのテロ
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レバノンの首都ベイルートの自爆テロ
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11月19日、レバノンの首都ベイルートのイラン大使館前で2度にわたって自爆攻撃があり、イラン人職員1人を含む少なくとも23人が死亡するテロ事件が発生した。犯行声明を出したアルカイダ系の「アブドラ・アッザム旅団」がシリアのアサド政権に反対すイスラム教スンニ派の組織であることを考えると、イランがシーア派のアサド政権を支持していることに対する報復攻撃であることは明らかである。
今回の自爆テロをアラブ諸国やパキスタン、アフガニスタンなどで繰り返されている、一連のテロ事件の一つに過ぎないと思う読者も多いと思うが、今回の事件は中東全体をハルマゲドンへと導く導火線となる可能性を秘めているという点で、特別な意味を持っていることを忘れてはならない。
シリアの内戦の激しい戦闘が飛び火し、レバノンだけに留まらず多くの関係国を巻き込んで地域全体が不安定化することになるのではないかと、当初から心配されていた最悪のシナリオが現実のものとなり始めたという点で、今回の自爆テロは極めて深刻な事件であるからである。
シリアの内戦が一向に収まる気配を見せていない点を考えると、今回の事件をきっかけに、中東諸国間や各国内でシーア派とスンニ派の対立が激化し、中東全体が地獄と化してきそうな気配である。既にエジプトやリビアでは一歩間違ったら内戦状態に突入しそうな情勢だけに、今回のテロが「火に油」とならないことを願うのみだ。
シリア内戦からの難民が一番多く避難してきているレバノンで、もしもシーア派とスンニ派の戦闘が本格化するようなことになったら、シリアからの避難民は一体どうなるのか。ましてや中東全域が戦場となるようなことになったら、逃げ場を失った人々は地獄の中をさまようことになる。
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中東各国がハルマゲドンに向かって動き始めた感がする、今回のレバノンのテロ事件
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シリアの化学兵器処理で難問
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1300トンという大量の化学兵器はどこで処分されることになるのだろうか
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国連の安保理事会での決議を受けて、化学兵器禁止機関(OPCW)は先月末までに、シリアの化学兵器関連施設の査察を終え、施設や部品の取り壊しを完了した。やれやれ一安心と思われるかもしれないが、これから先、処理した化学兵器の廃棄物をどのように輸送し、どこの国で処分するかの難問が待ちかまえていることを忘れてはならない。
安保理の決議を推進した米国とロシアは受け入れる可能性はゼロで、EU諸国もみな拒否反応を示している。福島原発の放射能廃棄物の受け入れを、各県が拒否する我が国と同じである。核兵器や放射能汚染物質の処理と同様、化学兵器の処分も大変難しい問題を含んでいるのである。
フランスが第一次世界大戦当時の260トンの化学兵器を未だ処分できず、北東部の町で厳重に保管したままの状態が続いていることを考えれば、その困難さがよく分かるはずだ。マスタードガスなどの毒性の強い兵器の処分となると、なおさらに大変である。しかも、今回処分することになっている化学兵器は1300トンという膨大な量なのである。
それにしても人間というの生き物はなんという愚かな生き物であろうか。使用済みの燃料棒一つを処分できないのに次々と原発を推進し続け
る人々、また一方では、廃棄処分もままならない危険極まりない化学兵器を手にして、我が身を防衛しようとする人々。共に、我が手で我が首をしめることになることが分からない人々である。
「今さえよければ」、「自分さえよければ」、「カネになりさえすれば」、まさに私が言うところの「三さえ主義」の見本であるが、どうやらその末路が地獄であることを、人類はもうすぐ知ることとなりそうである。
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