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悲惨な子供たち
シリアの内戦は日々拡大する一方で、犠牲者と避難民の数は増すばかりである。どうやら化学兵器
(サリンガスなどの神経ガス)も本格的に使用されだしているようで、
「国境なき医師団」は医療支援しているダマスカス近郊の病院で、神経ガスによる症状が見られる3600人の患者と355人の死者を確認している。
テレビに映り出される、もうろうとした目で苦しみもがく犠牲者の姿を見ていると、目を覆いたくなってくる。
何よりも痛ましいのはそうした苦しむ患者の中に、たくさんのいたいけな子供たちが含まれていることである。いつ果てるともなく続く、同じ国民同士の憎しみ合い殺し合いの修羅の世界は、まさに地獄絵そのもである。
シリア政府と反政府の両陣営は互いに相手側の使用を非難しあっているが、米国が情報機関の分析から
、政権側の化学兵器使用を確認したとする一方、ロシアは反体制派が使用した可能性が高いとする報告書を国連に提出。その真相を突き止める役割を担っている国連は、未だに
十分な調査が出来ずにいる。一時も早い現地調査が待たれるところである。
こうした状況下で、隣国トルコ、イラク、ヨルダン、レバノン、エジプトへ逃れる避難民の数は、国連UNHCR協会の調べでは8月8日現在で190万
人を突破、その多くが女性と子供である。そのうち17歳以下の若者や子供の数は100万人、その中には国内の戦闘行為によって両親
をなくしたり、離ればなれとなった子供たち3000人が含まれている。
そうした子供たちの多くにストレスやトラウマなどの病状が見られるようであるが、さらに心配なのは彼らが人身売買や性的虐待の対象になっていることである。
人の不幸を商売にしようとする悪魔のような人間どもの魔の手がここにも伸びてきているのである。平和ボケした日本人には信じられない人も多いかもしれないが、それが今の世界の現実なのだ。
なんとも痛ましい限りであるが、我々にできることことは、避難先で支援活動を続けている「国連UNHCR協会」や「国境なき医師団」に支援金をお送りし、子供たちにより安全な環境を与えてもらうこと
を願うしかない。なんとも歯がゆい限りであるが、あとは1日も早い内戦の終結をを祈るだけだ。
そんなわけで、これまでの講演会と「徳乃蔵」の収益金の一部を、両団体に寄付させて頂くことにした次第である。講演会参加者と徳乃蔵来館者の皆さんの
慈愛の心が共に届くことを願っている。併せて、講演会参加者から頂いた寄付金も一緒にお送りさせて頂いたことを、ご報告させて頂く。
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ケニアのダダーブ難民キャンプに次いで、世界で2番目に大きなヨルダンの
ザータリ難民キャンプには12万人が住んでおり、その多くが女性と子どもである。
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レバノン、エジプトに内戦の危機が
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シリア難民の避難先(国連UNHCR協会資料より)
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こうした惨状が続いている中、シリアの悲劇に呼応するがごとく、66万人が避難しているシリア難民の一番の避難先であるレバノン国自体が、アサド政権を支持するシーア派の武装組織・ヒズボラと反政府派を支持するスンニ派との間で抗争が多発
しはじめ、内戦に向かう可能性が出てきている。
24日にレバノン北部の都市トリポリにある2つのモスクの前で起きた同時爆弾テロでは
、金曜礼拝に参加していたスンニ派の42人が死亡し、500人以上が負傷。23年前に内戦が終結して以来最大の死傷者が出る事態となった。
どうやら激しさを増す宗派間の対立は、再びレバノンを内戦へと向かわせ始めたようである。
一方、エジプトでは事実上の軍によるクーデターによって、モルシ前大統領が政権の座を追われた後、ムスリム同胞団と軍をバックにした暫定政権との間の抗争
が激化し、既に1000人近い死者が出ており、抗争は泥沼化しようとしている。仮に暫定政権が軍部の力を借りてムスリム同胞団を押さえたとしても
、やがて反ムスリムは派が内部分裂することは必定で、その先に待っているのはもはや内戦しかない。
こうしてみてみると、シリア難民の避難先であるトルコ、イラク、ヨルダン、レバノン、エジプトの5ヶ国うち、国内の抗争が発生していないのはトルコとヨルダンだけである。もしもレバノンやエジプトが本格的な内戦状態とな
ったら 、シリアだけでなくレバノンやエジプトの難民は一体どこに逃れたらよいのだろうか。
元陸上自衛隊小平学校長の榊枝宗男(さかきえだ・むねお)氏は、「日本では到底理解できない複雑多様な中東は、まさに戦争と平和、豊かさと貧しさ、誇りと屈辱、現代と古代、テロとゲリラ、人間と神、宗教と科学が共存し、混在し、融合し、対立する複雑多様な地域である」と述べている。
まさに榊枝氏の言われる通りである。この複雑多様な世界は太古から続く争いのカルマが生み出した世界であるだけに、今この地で、本格的な宗派間(シーア派対スンニ派など)の対立が発生し、そこにイスラム教
対
ユダヤ教の宗教間の対立が加わるようになったら、もはや止まるところ知らずとなること必定である。その先に待っているのは、「ハルマゲドンの世界」であり「地獄絵の世界」である。
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シリアの内戦(ロイター)
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レバノンの内乱 8月24日の爆弾テロで破壊された教会(スペインTVE)
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エジプトの内乱 ムスリム同胞団と軍との衝突が続くカイロ 8月14日(ロイター) |
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