1992年から19年間にわたって25回に及ぶミッション
を果たし、昨年その任務を終えたスペースシャトル・エンデバーがこれから先展示されるカリフォルニアの科学センターまでの119キロを3日間かけて移動。ロサンジェルスを始め沿道の街では100万人を超す人々が名残惜しそうに見送った。
重さ77トンに耐えるために途中の道路は舗装をし直し、横幅を広げるため信号機を取り外し、たくさんの街路樹を切り倒しての移動。当然ながら自然保護団体から
は反対の声があったが、そうした声を押し切っての移動であった。米国の象徴とも言えるエンデバーの最後の晴れ舞台を一目見ようとする人々の思いが強かったからである。
米国は旧ソ連との冷戦状態がつづく中、超大国の威信をかけコストを度外視してシャトルの開発と発射を続けてきた。その米国は今や大変な財政難に陥り、「財政の崖」と呼ばれる危機的状況に陥って
いる。その結果、国家としてスペースシャトルの後継機を開発することを諦めざるを得ない状況に立ち至った。
後を受け継ぐのは民間会社である。そのため、米国国民は宇宙開発の分野で自国の力強さを実感する機会をほとんど持てなくなってきている。それだけに、ロサンジェルスの人々にとって今回のエンデバーの移動は、自らの国を心底から誇れる
またとない機会となったというわけである。
米国凋落の兆候と戦争の危険性
ここ1年ほど前から、米国が世界を動かすニュースが一気に伝わらなくなったことに、読者は気づいているだろうか。政治の分野だけでなく、経済においても
科学技術においてもそれは同様である。シリア内戦に対してもまったくと言って良いほど出番がなく、ギリシャをはじめとする南欧諸国の財政難に対しても一切他人事として関わらず、ユーロ圏諸国の財政支援を見守るだけである。あれだけ出しゃばり好きの米国にしては異常事態
と言わざるを得ない。
この夏以降、米国発のニュースと言えばもっぱら国内情勢で、全米各地に広がった猛暑による山火事と大統領選挙、それに銃の乱射事件である。そしてこの選挙が終われば、いよいよ「財政の崖」がやって来る。長い間続けてきた減税が終了し、政府は法律に基づいた強制的な財政緊縮策を実行する事になる。今はユーロ危機の影に隠れているが、年末から年始にかけ、米国の財政危機が大きく取り上げられることになるのは必至である。
報道では、米国が抱えた借金は3000兆円ほどとされているが、実際はそれより遙かに多いのが実情で、もはや超大国米国といえども返済が不可能な状況に陥っていることは間違いない。それゆえ、米国が今秘密裏に狙っているのは、
南シナ海から東アジアにかけての中国を巻き込んだ戦争である。
思い出すのは2年前にペトロ・ホボット氏が私に語ってくれた予見である。当時既にその前兆があった「日本やアジア各国と中国との関係悪化が、
大規模な戦争につながる可能性はありますか?」という私の質問に対して、2011年2月18日掲載のHP「ペトル・ホボット氏からの回答」の中で、彼は次のように語っている。
中国と周囲の国々の関係悪化は、およそ2年後の大規模な戦争勃発の危険性と、直接つながっています。
米国と中国の関係が根本的に変わるようなことがあれば、紛争は起こるでしょう。最初の段階では、商業戦争といったような形をとるでしょう。
アメリカ合衆国の産業は、特定の重要鉱物の意図的な禁輸によっておびやかされます。アメリカは中国に輸出を強い、やがて南シナ海で軍による何らかの封鎖が行われます。
日本人には、こういった軋轢が生じても中立の立場を維持するように、またアメリカの影響力に屈することのないように勧めたいと思います。そうすれば、紛争は最初の段階で著しく抑制され、日本は偉大な平和主義者、また地域全体の救済者としての役割を果たすことになります。この危険も、最終的には宇宙の善のパワーによって、削除されると私は信じています。
当時は尖閣問題で日・中間の亀裂がここまで進むとは考えていなかっただけに、ペロル氏の予見
がより深刻な状況になってきていると言えるかも知れない。
現時点では、米中間情勢はまだ商業戦争状態までには立ち至っていないが、両国の経済状況がこれから先一気に悪化する可能性を考えると、
両国間の亀裂もより深くなって来る危険性は大である。
来年2013年の春を迎えると、ペトル氏の予見した2年後という時期がやって来る。現在、尖閣諸島を巡る軍事行動へ向けての日・中・米の軍備は秘密裏の内に着々と進められている。こうした情報を国民は知らされていないだけである。私の下に伝えられて来る情報を見ると戦慄が走る。
水面下でどす黒い戦略を着々と進める米国と中国。その間にあって国家的戦略を持たない我が国は、波間に揺れる小舟のように見える。何よりも心配なのは、こうした状況下にありながら、一向に危機的意識を持たない日本人の世間知らずの「人の良さ」と「のんき心」である。何があっても戦争だけは絶対に起こしてはならない。先ずは中国の挑発に乗らないこと
、米国の戦略に引き込まれないことだ。