衆議院が解散した16日以降、東京金融市場は株高と円安が続き、日経平均株価は一気に9100円台を回復。世界の株式が低迷するのと逆行し、まるでミニバブルが起きそうな気配である。
足下の景気は悪くなる一方だというのに「政権を取ったら大胆に金融緩和をする」という安倍晋三自民党総裁の発言に動かされた金融市場は「安部バブル」の様相である。市場が次の首相と読んでいるのが、安部氏。彼は連日のように「政権を取ったら2%、3%のインフレ目標を設け、無制限に緩和していく」、「日銀法改正も視野に入れる」と勇ましい発言を繰り返している。
インフレ目標を達成するために、民間銀行が日銀に預けている当座預金の金利を「ゼロかマイナスにして貸し出し圧力を強める」のだという。マイナス金利だと民間銀行は日銀にお金を預けておくと損をする
ことになり、企業への貸し出しに回さざるを得なくなって来るからである。
これまでに日銀は10兆円を超す大量の資金を市場にばらまいてきている。さらに民間銀行がそれに追い打ちをかけたところで、緩和効果は一時的で、繰り返せばモルヒネのように効き目が薄れるだけである。同様な手段を行ってきている米国や欧州の景気が一向に回復に向かっていないのが何よりの証拠である。
それよりも一歩間違ったら、恐怖のハイパーインフレの発生である。それが怖いから先の二つの世界大戦後に苦い経験を持つドイツなどは決してそうした安易な政策には手を出さないのである。また、日銀法改正は日本銀行の独立性を失うことになり、決して許してはならないことである。
安倍氏は建設国債の日銀買い取りも示唆しており、波紋を呼んでいる。実施された場合、実質的には国の借金を日銀が肩代わりするものであり、これは現在、財政法で原則禁止とされていることである。安部氏はなにゆえ
、このような国家破綻につながりかねないような発言を次々と打ち出しているのか? 日本の国家破綻を目論む「闇の勢力」の手に内に落ちてしまったからではないか。
そう勘ぐりたくなってしまう。
そのそも体調不良を理由に任期途中で退任した男が、何を今更政界のトップに登場しなければならないのか? 「アジアサミットに出席して米国からきつい脅しをかけられ、恐ろしくなって身を退いたのではなかったですか!」、「今度は米国の言いなりになるのを条件に再登場ということですか? 安部さん」そう言いたくなってくるのは私だけではないはずだ。
一国を任せるに足る政治家のなんと少ないことか、情けなくなってくる。このままでは神国日本はもはや終わりである。それにしても、数ヶ月後には世界の市場が奈落の底に落ちようとしていることを市場参加者は知らないのだろうか。物欲に取り憑かれた亡者達の末路が目に浮かんでくるようだ。