米共和党のベイナー下院議長は20日に「財政の崖」回避に向けて、オバマ大統領から譲歩を引き出すため、自らが提案した「プランB」を下院で採決する考えだったが、共和党内から十分な支持が得られず、採決の断念を余儀なくされた。
財政協議で焦点の一つとなっている富裕層向け増税をめぐっては、オバマ大統領が増税対象とする世帯を当初主張していた年収25万ドル以上から40万ドル以上に引き上げた一方、ベイナー下院議長はすべての人々に対する減税継続を主張していた従来の立場を和らげ、年収100万ドル以上の世帯への増税を認める「プランB」を提示していた。
しかし、この切り札とする予定の「プランB」が採択できなかったというわけである。それを受けて、突然、下院はクリスマス明けまで休会となり、審議の再開は早くても12月27日以降となってしまった。それにしても、国難に遭遇しようとしてるこの時期に、1週間もの休暇を取るというのはなんとも解せない話である。
その結果、2001年と2003年に可決されたいわゆるブッシュ減税法案が期限切れとなる年末の12月31日まで、審議の時間はわずか数日しか残されていないことになる。この調子では、減税延長案の議会通過はさらに難しくなりそうである。
ただ、ベイナー議長は新会期となる1月3日に、再び新議長として選出されることになるようなので、一旦減税は失効するが、その後に可決される法案によって減税を復活する可能性は残されているようである。しかし
その可能性は5分5分であるので、これから先、年末、年始にかけて米国発の情報から目が離せない状況が続きそうである。
こうして議会が休会に入ったので、前回私が予測した24日前後のオバマ大統領の衝撃的な発表は、年末あるいは年明け早々にずれ込むことになるかもしれない。
しかし、米国の「財政の崖」問題がより厳しい状況にあることにはなんら変わりはないので、読者は目を離さないでおいて頂きたい。
写真が暗示する経済崩壊
12月21日付けのロイターニュース「米財政の崖、下院議長案に共和党内の指示得られず採決断念」の記事を読もうとした時、そこに添えられていた写真(上段に掲載)を見て驚かされた。そこにはなんと、ワシントンの議事堂が水に浮かぶ「逆さ富士」ならぬ、「逆さ議事堂」の姿で写っていたからである。
この逆さ議事堂写真は何を意味しているのだろうか? 私には、年末から年初にかけ行われる議会審議やオバマ大統領の演説次第では、議事堂がひっくり返るような驚天動地の状況が発生することを暗示しているように
見えるのだが、思い過ごしだろうか。
これまで数多くの議事堂写真を見てきたが、このような奇妙な写真にお目にかかったことがない。しかも、水面に浮かぶ逆さまな姿など、およそ考えられないことである。
私には、このなんともこの不可思議な写真は、なやがて始まる混乱の時代を暗示しているように思えてならないのだが、いかがだろうか。
一つだけ確かなことは、オバマ大統領がこれから進めようとしている禁じ手について、その裏の真相を知っている人間が
おり、それに沿った準備が密かに進められているということである。