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先月末から米国を襲っている熱波の凄さは想像を絶するものとなっている。あまりの暑さに道路がめくれ上がって走行して来た車が空中高く飛び上がり、鉄道の線路はくねくねに曲がって列車が脱線、空港では、旅客機のタイヤが滑走路の中に食い込んでしまった。畜牛約4000頭が死亡
たり、大量死した魚が湖面を覆う州も出ている。
3000ヶ所以上で史上最高気温を記録、25州で8000万人の人々が熱波の中で悲鳴を上げている。連日40度を超す信じ難い暑さに襲われている街では「拷問のような暑さ」「ミサイル級の汗」といった聞いたことのない表現が飛び交い、住民は「毎日こんなに暑くてはエネルギーが吸い取られてしまう」と悲鳴を上げている。
先月29日に大嵐に襲われ電柱が軒並み倒れ、停電が続いているインディアナ州やバージニア州では400万人を超す人々がこの猛暑の中で冷房も扇風機も冷蔵庫も使えず過ごし、 ある主婦は「夜はコンクリートの床の上に水をまいて裸で寝るしか方法がない」と語っていた。8日の時点でもまだ100万人を超す人がこんな状況対を余儀なくされているようである。
それでも、昨日辺りから巨大な寒冷前線が米国を横切りだしているため、11日間にわたる「灼熱の地獄」から解放され始めているようだ。しかし、この前線が熱波と衝突するため、気温は下がるものの今度は激しい嵐が起き、風速36メートル級の暴風雨が発生ることが懸念されているというから、まさに踏んだり蹴ったりである。
この寒冷前線は非常にゆっくり進んでいることから、暴風雨の被害が長く続く危険性が大きく、またまた、木々と一緒に電柱が何千本となぎ倒されることになるかも知れない。
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南部では大干ばつ
一方、テキサス州など米国の南部では異常高温だけでなく、風も強く干ばつの被害が広まっており、北部で豪雨や洪水被害が出ているのにもかかわらず、南部にとっては全く救いになっていないようである。
テキサス州の干ばつは過去3番目のひどさで、家畜放牧地が枯れ、数千エーカー(1エーカー=0.4ヘクタール)の小麦、その他の農作物が壊滅的被害を受けている。山火事と言えば中西部のコロラド州の大規模山火事の様子を「米国の異常気象で A」で報告したばかりであるが、テキサス州の山火事でも1800人が避難を余儀なくされて数十戸の住宅が焼け、ヒューストン郊外では焼失面積が5200エーカー以上に達している。
気象学者らが23日発表した「干ばつモニター」によると、先週の時点で南部では最悪の干ばつ状況である「例外的干ばつ」に分類される地域の面積がテキサス州全体の70%以上に達し、2番目のレベルである「極端な干ばつ」も含めるとなんと全体の91%となっている。
アリゾナ州も同様で、「極端」と「例外的」の範ちゅうに入る土地の比率は68%から70%以上に上昇。ルイジアナでは「例外的」が28%から65%に急上昇しオクラホマでもこの比率が10%から30%に拡大し、さらに 広がっている。
今日(10日)のニュースを見ると、テキサスやバージニア州では今度は雹(ひょう)や嵐で大荒れになっており、洪水とは別の形で被害が広がっているようだ。とにかくこのところの米国の天候は尋常ではない。こうした記録的な天候被害がなにゆえ今米国全土を襲っているのかについては、後日、改めて記すことにしたいと思っている。
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