猛暑と干ばつの被害拡大
ロシア
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ロシア南部の穀倉地帯ヴォルゴグラッド地方の干ばつ
3月26日から6月17日までの雨量はわずか7ミリ
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ヨーロッパ大陸南部から東部を襲っている熱波と干ばつについては既にこれまで報告してきた通りであるが、ロシア南部ボルガ川流域
はさらにひどい状況となっている。このフランスの国土の2倍に当たる広大なロシアの主要な穀倉地帯では、3月以来雨がほとんど降っておらず、6月中旬からの40度を超す炎天下、大規模な干ばつに見舞われている
。
その結果、小麦や豆類を中心に大きな被害が出ているが、特に小麦やオウト麦の減少が深刻で2000万トンにも及ぶ量が収穫できない状況となっている。この減収量はロシアが毎年輸出に当ててきた量に匹敵することから、これまでロシアからの輸入に頼ってきた国々では、
今年は買い入れが出来ないことになりそうである。
米国
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国土の3分の2が干ばつの被害を受けているが、赤と
赤紫色は特にひどく、極端で前例のない被害を受けている
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穀倉地帯と言えば米国の中西部はさらに収穫量が大きいことで有名である。国内だけでなく世界の穀倉地帯でもあるこの米国中西部地帯も数十年来の干ばつに見舞われ
ている。トウモロコシや大豆などの被害が大きく、農務省の発表によるとトウモロコシの収穫量は過去15年間で最低で、先月の予測よりさらに17%も落ち込み、大豆も同様な状況となってきている。
米国は穀倉地帯に限らず国土の3分の2が干ばつの被害を受けており、オバマ大統領もその深刻さを「壊滅的で歴史的でもある」と語っているように、有名なミシシッピー川も水位が下がり船舶の運航に支障が出るほどの状況となっている。昨年、同様な状況となった中国の黄河や揚子江
の状況が思い出される。
生産量の低下 → 家畜用の飼料の値上がり → 農家の家畜飼育離れ → 肉や乳製品の価格上昇
となり、トウモロコシや大豆類の40%近い値上がりは、これらの穀物がデンプンからクッキー、歯磨き粉まで幅広く使われていることから、
これから先、様々な製品の価格に影響を及ぼしそうである。
世界各国
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干ばつはロシア、南欧、米国、オーストラリアだけでなく
今やブラジルやアルゼンチンにまで被害が拡大している
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熱波や干ばつはこれまでにも何度も起きてきている現象である。しかし、今年のそれは規模が大きいことと同時に世界的規模で発生しているという点が異常である。ロシアや米国で凶作であっても世界の他の穀倉地帯で豊作なら、事態は深刻とならずに済む。
ところが今年は異常な熱波と干ばつは、ロシアや米国のみならず世界の穀倉地帯と言われている南欧、中南米、インド、オーストラリアなどほとんど全ての国で同様な事態が起きているのである。南米ではブラジルやアルゼンチンが干ばつで被害を受け
始めており、ここに来てオーストラリアやインドの干ばつ被害も一段とひどくなってきているようである。
そして中国
世界中がオリンピックで浮かれている中、春から続く世界の異常気象は益々その度合いを増してきている。干ばつとは正反対の自然災害であるが、台風による暴風雨と洪水
の連鎖に見舞われているのが中国である。先の台風9、10、11号はどれも皆日本列島を避けてくれたお陰で、幸いなことに我が国の被害はなかったが、その分、わずか1週間の間に3つの台風全てが上陸した中国では、大変な被害が発生している。
今世界は、どこどこの国というのではなく、地球規模で経験したことのないような未曾有の自然災害に見舞われつつあるのである。一時も早く、オリンピックに浮かれたテレビ番組が終わり、人類が置かれた危機的な状況を真剣に取り上げた番組を、しっかりと放送して欲しいものである。
ワイタハ族のポロハウ長老が我が国における8月の大雨による水害を心配しておられたが、先の3つの台風の進路変更で救われたとしたら幸いだが、その分が他国に及んでしまっては何にもならない。むしろ、多くの日本人が
「時の到来」の気づきに遅れてしまったとしたら悲劇である。
我々は地球各地で発生している自然災害の実体をしっかりと認識し、他山の石としなければならない。
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