北欧と東欧の異常気象
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連日の暑さに見舞われているハンガリーでは、もともと涼しい土地で
あるためエアコンがなく、地下のワイン倉庫などに氷を積み上げた
「氷の部屋」で過ごすことが大流行となっている
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米国と同様、欧州でも異常気象が続いていることは前回の「進む世界の気候変動
@」で記した通りである。さらに北欧や東欧の様子はどうなっているのかと情報を探していたところ、「In Deep」にスウェーデンとハンガリーの状況が記されていたので、転載させて頂いた。
長雨と低温に見舞われている英国では9月までこの状況が続きそうで、オリンピックは雨の中の競技が多くなりそうだと書いたが、どうやらスウェーデンでも英国同様、雨と低気温の日が続
いており、6月はここ200年間で最も多い雨の月となったようである。
また一方で、ハンガリーは連日猛暑に襲われ、
温泉並になったプールを避け冷たい川を求めて人々が集まっている。
昨日、9人の死者を出したスイスのアルプス山脈の大規模な雪崩の発生も高温現象がもたらした可能性がありそうである。またポーランドでは連日各地で雷や暴風雨と
いった荒れた天気に見舞われ、雹が窓や車に降り注ぎ、屋根に穴が開く被害が出ている。
この北欧の低温と雨、東欧の高温と晴天といった気象状況の極端な差は、フランスの北部と南部のそれと一緒で、ポーランドの雷や雹、暴風雨は米国南部のテキサスやバージニア州
で発生している異常気象と同様である。こうして見てみると、世界中がかって経験したことのない異常気象下に置かれていることが分かる。
この「
200年間」で最も雨が多い6月を経験したスウェーデン
6月のスウェーデンは、ほとんどの地域で多量の雨と寒い気温に悩まされた。そのため、多くの人々が暖かい地域への旅行を希望している。現在、スウェーデンで人気の旅先は、バルセロナ、クレタ島、そしてタイのバンコクとなっている。
ストックホルムを含むいくつかの地域では、記録的な雨量を計測しており、これは、これまでの200年間のあいだで最も多い雨量となっている。首都は毎日毎日、雨ばかりで、ほとんど太陽を見られない。そんな中で、スウェーデンの人々の「南国への旅」の願望が過去最高に高まっているようだ。
平年より7度以上平均気温が高いハンガリーの各都市
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温水化しているプールを避けて水辺に殺到する人々
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ハンガリー全土を襲っている耐えがたい「狂った」猛暑は、人々を、冷たい川、洞窟、地下室などにいざなっている。先週(6月の4週)、ブタペストでは、平均気温が27度を記録し(平年は19.3度)、ハンガリーの国立観測所は、猛暑に対しての警報を最高レベルに上げた。
7月の第1週は、ハンガリー全土で
32度から37度の最高気温を記録することが予測されており、人々が、エアコンのあるオフィスやスーパーマーケットなどに殺到すると思われる。また、湖にも人々が集まっているが、連日の猛暑で湖の水温も上がっている。ヴェネツィア湖は25度と温水プール並の水温となっている。
ドナウ川などの河川の水温のほうが湖より5、6度、水温が低いが、ドナウ川には、ビーチとして指定された場所がないことが問題だ。また、ハンガリー国立環境衛生センターによると、ドナウ川の水質は泳ぐことに適していないという。
値上がりが続く穀物市場
米国中西部を中心とした猛暑と雨不足は米国の広範囲に渡って農作物に大きく影響を及ぼして来ており、収穫量の落ち込みが懸念されている。その結果、世界の穀物相場がここに来て一気に上昇し始め、シカゴの先物市場において、トウモロコシや大豆は史上最高値を更新して来ている。
その影響は既に日本にも及んでおり、大豆の輸入価格の高騰により豆腐や醤油などの値上がりは避けられない状況に来ている。また、小麦の生産も落ち込んでいるようなので、いずれパンや麺類などの価格にも影響が出てくることになりそうである。
日本ではまだ水害の被害が穀倉地帯に及んでいないので一先ず安心だが、8月に予想される豪雨による大規模水害や9月の台風の襲来が関東から日本海一帯の穀倉地帯に及ぶような事があれば、東北の稲作が原発事故の影響で大きく落ち込んでいるだけに、減収と価格の上昇が心配である。
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米国の干ばつがいかに広範囲に渡っているかが分かる
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