8月22日付けで「シリア難民の惨状を憂う」を掲載したところ、たくさんの方々からメールを頂くところ相成った。その数は「利尻・礼文島への旅」の感想文より多いのに驚かされた。
シリア難民の厳しい状況に改めて気づかされたとか、他人事と決め込んでいた自分が恥ずかしいとかといったメールと同時に、
感謝のメールも含まれていて恐縮している。
下記に掲載したメールはその中の1通である。アラビア語を学ぶ中でシリアがどういう国で、ムスリムの人々がどんな人々であったかをよく知る立場におられたある女性から頂いたメールである。それによると、シリアは数年前まで中東で一番観光しやすい国であったと言うことである。
確かに今の大統領の父親の統治するシリアは、民族の対立が続く中東の中では、穏やかな国であったようである。
また、ムスリム人(イスラム教を信仰するスラブ系の人々)はとても穏和で、フレンドリーで、かつ「平和主義者」だそうである。ムスリム人たち
がそうした人々であるという認識を持っている日本時は少ないように思われる。それは、どうやら情報不足による誤解のようで、彼女によると、「物質主義」「拝金主義」に
陥ってしまった現代の日本人に比べたら、遙かに彼らの方が魂が純粋だということである。
先日シリア第2の都市アレッポで殉職されたジャーナリスト、山本美香さんの撮影された街の人々を映した映像を見ると、ムスリムの人々の心の温かさが伝わってくる。実際にその場に立たないと得られないことの一つである。
私の信条は、他人の言に依らず自分自身の目で見、肌で感じたものを大事にすることである。それゆえ、正しい歴史観を持つために、エジプト、メキシコ、ペルー、グアテマラ ・・・・・ そうした先史文明の痕跡を残す国々を実際に訪ね、その地の遺跡に立つよう務めてきた。
南極、北極、アマゾンそうした異境の地を訪れたのも皆そのためである。しかし、限られた時間故に、中東の地に立ってイスラムの人々の生活状況や人間性を知る
ところまでは出来ずにいた。従って、残念ながら、世界で注目を浴びている中東の国々の実体やそこで暮らす人々の考え方などについては、マスコミが伝える情報に頼るしかなかった。
今回、ご縁を頂いてこうしてシリアの実体とムスリム人達の本当の姿を聞かせて頂くことが出来たことは有り難いことである。内戦で戦乱が広がっている
現在のシリアしか知らない多くの日本人は、そこがかっては中東で一番観光しやすい国であったことや、日々マスコミに登場するムスリム人が大変に穏和で、フレンドリーで、かつ「平和主義者」であることなど、ほとんど知らないはずだ。
それだけに、連日報道され続けているシリアの内戦の惨事については、およそ自分とは関係ない遠い世界の出来事であると決め込み、無関心を続けている人が多いので
はなかろうか。しかし、こうしてシリアやムスリム人に関する情報の一片を教えられただけでも、他人事とは思えなくなってくるに違いない。
彼女は韓国人女性の尖閣諸島騒動に対する苦しい心境も綴っておられるが、国と国、人と人との争いが
いかに無意味でむなしいものなのかを、改めて感じる今日この頃である。1日も早くこうした苦しみと悲しみの世界を乗り越えたいものであるが、「弥勒の世」の到来までは今しばらく厳しい状況が続くことは避けられそう
もないので、世界各地で苦しみ、悲しみに対峙しておられる人々に1日も早く平穏が訪れることを願いながら、力強く生きていきたいものである。
「弥勒の世」への峠は目の前である、お互いに頑張って生きようではないか。
以下は読者からのメールである。