「財政の崖」問題の期限切れが刻一刻と迫る中、のんびりとクリスマス休暇を過ごした大統領や上下両院の幹部達。休暇後、水面下では増税対象とする富裕層の年収基準や支出削減幅などの「数字」をめぐって、駆け引きを繰り返しているようであるが、漏れ伝わる情報を見る限り、依然として論議の溝は埋まった様子は見られない。
政府と議会は本気で事態の打開策を模索しているのだろうか? 政府とベイナー議長との譲歩案の出し惜しみや民主、共和両党の議会指導部の非難合戦は、もはや崖からの墜落は避けられぬことを承知の上で自己弁護のための単なる茶番劇に過ぎないのだろうか?
それとも期限切れ直前の劇的な妥結を演出するシナリオに沿った事前のショーなのだろうか。それにしても、ここまで押し迫ってからの審議再開というのは、何とも合点の行かないところである。
審議再開は米東部時間30日午後6時半(日本時間31日午前8時半)。もしも議会最終日の米東部時間31日の深夜までに妥協点がまとまらない場合は、1日から減税の停止と財政削減策が実施されることになるが、一応、現職議員の任期最終日となる1月2日まで討議を継続する可能性は残されているようである。
いずれにしろ、残された日時があとわずかであることに変わりはない。その場しのぎの延命策が講じられオバマ大統領の衝撃的な発言が行われないまま、一時の平穏が訪れることになるのか、それとも、世界経済の崩壊に向かって地獄の蓋が開くことになるのか? 金融市場関係者は固唾を呑んで見守っている。