カタールのドーハで行われている地球温暖化対策を話し合う国連会議COP18で、今年の平均気温が観測史上最も暑い夏の中の上位10位に入る
ことが発表された。平均気温が高いだけでなく、今年は世界各地で観測史上の最高気温が観測されており、
米国では1万5000件の日中記録が更新されている。そんな記録的な猛暑を目に見える形で示したのがグリーンランドと北極の海氷の劇的な減少であった。
大干ばつと猛暑、洪水の夏が去った後、今、ヨーロッパでは新たな異常気象に見舞われている。その代表的な災害が先週から続いている英国イングランド北西部を中心とした洪水であるが、カンブリア地方では
24時間の雨量が観測史上最高の314ミリを記録したというから、その凄さが分かろうというものである
異常気象は英国だけにとどまらず、ヨーロッパ全域に広がって来ている。イタリアではかって経験したことのない大規模な竜巻が発生、ベネチアでは大雨と高潮で街の大部分が浸水し「水の都」などと呑気なことを言って
はおれない状況に遭遇している。一方、フランスでは山沿いを中心に季節外れの激しい吹雪に襲われ、またロシアでは70センチを超す記録的な大雪に見舞われている。この積雪量は11月としては過去50年で一番だという。
こうしてみてみると、温暖化は単に世界の気温を上昇させるだけでなく、一方で、寒冷化や大雪をもたらしているのが分かる。それは、グリーンランド
の氷床や北極海の海氷の融解が、潮流や大気の流れ(気流)を変化させていることを示している。こうして地球全体の気象に異変が生じ、大規模な干ばつや洪水、ハリケーン、暴風雪が次々と発生してきているのである。
とかく人間は「直線思考」で事態の推移を予測しがちであるが、自然の変化や経済の混乱は「放物線」を描いて進むのが常である。ここ数年ゆるやかな放物線を描
き始めてきていた変化は、これから先、年明けから2015年にかけ、一気に急激なカーブを描くことになるはずだ。
北海道を襲った暴風雪で数日間の停電に見舞われた被災者たちが、「電気を使わない石油ストーブを用意しておけばよかった」と嘆いておられるようだが、何を今頃、馬鹿なことを言っているのだと情けなくなってくる。ニュースで見聞きする災害はみな他人事
として、対岸の火事の気持ちで眺めているからなんの準備もせずにいるのだ。
これだけ世界各地で次々と異常気象が発生して来ているというのに、人間とはなんとも情けない「生き物」である。私のHPの読者だけはそうならないことを願っている。